先進国債券インデックスファンドは世界の主要国の国債などに分散投資ができる投資信託です。
伝統的4資産の一つである海外債券(主に先進国債券)は、長年にわたり分散投資先の一部として利用されています。
そんな先進国債券型のインデックスファンドで低コストなファンドをまとめ、実質コストなど比較してみました。
先進国債券インデックスファンド一覧
モーニングスター社でカテゴリが国際債券・グローバルのファンドの中で低コストなインデックスファンドを抽出したのが下記となります。
ファンド名 | 信託報酬 (税込) |
ベンチマーク | 純資産総額 (百万円) |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim先進国債券インデックス | 0.154% | FTSE世界国債インデックス (除く日本、円換算ベース) |
54,227 |
ニッセイ外国債券インデックスファンド | 0.154% | FTSE世界国債インデックス (除く日本、円換算ベース) |
21,650 |
Smart-i 先進国債券インデックス(H無) | 0.187% | FTSE世界国債インデックス (除く日本、円換算ベース) |
1,478 |
Smart-i 先進国債券インデックス(H有) | 0.187% | FTSE世界国債インデックス (除く日本、円換算ベース、為替ヘッジあり) |
1,194 |
たわらノーロード 先進国債券 | 0.187% | FTSE世界国債インデックス (除く日本、円換算ベース) |
32,352 |
iFree外国債券インデックス | 0.198% | FTSE世界国債インデックス (除く日本、円換算ベース) |
6,408 |
たわらノーロード 先進国債券 (為替ヘッジあり) |
0.220% | FTSE世界国債インデックス (除く日本、円換算ベース、為替ヘッジあり) |
10,350 |
採用されているインデックスについて
FTSE世界国債インデックス(除く日本)
FTSE世界国債インデックスは、シティグループの債券分析、並びにインデックス事業が、ロンドン証券取引所グループへ売却されたことに伴い、シティ世界国債インデックスから名称変更された日本を除く世界主要国の債券市場の動向を表す外国債券のインデックスです。
日本を除く世界主要国の政府や政府機関が発行または保証を行っている債券(ソブリン債)の価格と利息収入を合わせた投資利回りを各市場の時価総額で加重平均した指数です。
組み入れ対象国は日本を除く下記の21ヵ国となっていて、メキシコやマレーシアなどの新興国も一部含まれています。
この指数に組み入れられるためには、3ヶ月連続で下記の3つの採用基準を満たす必要があります。
- 市場規模基準:市場の額面総額合計が500億米ドル、400億ユーロ、5兆円をそれぞれ上回る
- 信用格付基準:組み入れ時は、発行体の自国通貨建て長期債務の格付けがスタンダード・アンド・プア-ズ(S&P)とムーディーズ共にA–/A3以上
- 市場参入障壁:市場が海外投資家に対して閉鎖的な場合や、方針に一貫性がない場合は、除外理由として考慮
先進国債券インデックスファンドの実質コストなどを比較
先進国債券インデックスファンドで信託報酬が特に低コストなファンドで実質コストやマザーファンドの規模などを比較したのが下記となります。
【実質コスト】
投資信託は、保有時にかかるコストとして信託報酬がありますが、信託報酬以外にもその他費用としてかかるコストがあり、それらを合わせたのが実質コストと呼ばれ、実質コストが小さいほど低コストで保有できるファンドであると言えます。
【マザーファンドの規模】
インデックスファンドではマザーファンドを通して実際の株や債券などの売買をしていることが多く(ファミリーファンド方式)、マザーファンドの規模が小さいとインデックスとの連動に必要なすべての株式等を購入できずにインデックスと乖離が発生しやすくなったり、逆にマザーファンドの規模が多ければ株式の売買手数料などが割り引かれコスト削減につながる期待が持てます。
【純資産残高の年間増加額】
純資産残高の年間増加額が大きければ、資金流入が多いこととなるので直近で人気が高いファンドといえます。
【1年間のリターン】
1年間のリターン(トータルリターン)は、基準価額をベースに間接的なコスト(信託報酬を含む実質コストなど)を控除したリターンとなります。
ただ、インデックスファンドでは信託報酬の引き下げなどがあり、単純に1年間のリターンが大きければ良いインデックスファンドとは言えませんのであくまで参考値として記載しています。
FTSE世界国債インデックス(除く日本)(為替ヘッジなし)
ファンド名 | 信託報酬 (税込) |
実質コスト (税込) |
マザーファンド規模 (百万円) |
純資産残高 年間増加額 (百万円) |
1年間の リターン |
---|---|---|---|---|---|
eMAXIS Slim先進国債券インデックス | 0.154% | 0.169% | 197,147 | +21,767 | 1.92% |
ニッセイ外国債券インデックスファンド | 0.154% | 0.187% | 46,402 | +3,284 | 1.89% |
Smart-i 先進国債券インデックス(H無) | 0.187% | 0.225% | 47,323 | +548 | 1.92% |
たわらノーロード 先進国債券 | 0.187% | 0.203% | 137,037 | +7,581 | 1.92% |
iFree外国債券インデックス | 0.198% | 0.217% | 233,632 | +1,770 | 1.94% |
信託報酬は「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」「ニッセイ外国債券インデックスファンド」が最安値ですが、実質コストは「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」が調査時点では低コストとなっていそうです。(ただし、実質コストは毎年変わります)
eMAXIS Slimシリーズは、機動的に信託報酬を引き下げることによって、業界最低水準の信託報酬を目指すファンドで、「eMAXIS Slim先進国債券インデックス」は常に他のファンドの動向を見て信託報酬を引き下げ続けているので、今後も低コストであり続けることが期待され、「マザーファンドの規模」「純資産残高年間増加額」も加味すると、「eMAXIS Slim先進国債券インデックス」がベストなファンドと言えそうです。
参考 eMAXIS Slim 先進国債券インデックスの評価ってどう?利回りや実質コストは?
直近1年ではiFree外国債券インデックスがパフォーマンスが良かったようですが、中長期で見れば実質コストが低コストな「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」の方がパフォーマンスがよくなる可能性は高いと考えられます。
FTSE世界国債インデックス(除く日本)(為替ヘッジあり)
ファンド名 | 信託報酬 (税込) |
実質コスト (税込) |
マザーファンド規模 (百万円) |
純資産残高 年間増加額 (百万円) |
1年間の リターン |
---|---|---|---|---|---|
Smart-i 先進国債券インデックス(H有) | 0.187% | 0.211% | 302,938 | +54 | -13.71% |
たわらノーロード 先進国債券 (為替ヘッジあり) |
0.220% | 0.236% | 573,974 | +100 | -13.80% |
信託報酬、実質コストは「Smart-i 先進国債券インデックス(H有)」が最安値ですが、マザーンファンドの規模や純資産残高年間増加額は「たわらノーロード 先進国債券(為替ヘッジあり)」の方が優れています。
実質コストだけを考慮すれば、「Smart-i 先進国債券インデックス(H有)」が良く、実際の1年間のリターンも「Smart-i 先進国債券インデックス(H有)」の方がパフォーマンスはいいので、人気はありませんが「Smart-i 先進国債券インデックス(H有)」の方が良さそうです。
つみたてNISA(積立NISA)やiDeCoの対応状況
名称 | つみたてNISA | iDeCo |
---|---|---|
eMAXIS Slim 先進国債券インデックス | × | SBI証券 マネックス証券 松井証券 |
ニッセイ外国債券インデックスファンド | × | × |
Smart-i 先進国債券インデックス(H無) | × | × |
Smart-i 先進国債券インデックス(H有) | × | × |
たわらノーロード 先進国債券 | × | 楽天証券 |
iFree外国債券インデックス | × | × |
たわらノーロード 先進国債券(為替ヘッジあり) | × | 楽天証券 マネックス証券 松井証券 |
参考 NISAとiDeCoの違いの比較については下記も参考にしてみてください。
まとめ
先進国債券のインデックスファンドでは「FTSE世界国債インデックス(除く日本)」が多く利用されていて、日本を除く先進国(一部新興国も含む)21ヵ国の政府や政府機関が発行または保証を行っている債券(ソブリン債)に分散投資ができます。
債券というと比較的安定的な値動きが想定されますが、日本の国債などの債券に投資する「eMAXIS Slim国内債券インデックス」と「eMAXIS Slim先進国債券インデックス」を比較したのが下記となります。
(引用元:モーニングスター)
赤がeMAXIS Slim先進国債券インデックス、オレンジがeMAXIS Slim国内債券インデックスの過去3年間のチャートです。
「eMAXIS Slim先進国債券インデックス」の方が上昇や下落の幅が大きく、「eMAXIS Slim先進国債券インデックス」のように為替ヘッジがないファンドの場合は為替の値動きも影響してきます。
先進国債券のインデックスファンドでは、為替の影響を抑制した為替ヘッジありの低コストなインデックスファンドもあるので、為替ヘッジコストをかけてもより安定的な運用を期待するなら為替ヘッジありのインデックスファンドも検討してみてください。
ただ、世界的なインフレ傾向の中で各国金利の引き上げが行われている中で日本は金利を据え置いているので、為替ヘッジのコストが高くなる状況となっている点は注意が必要です。
低コストの投資信託を購入するのにおすすめの証券会社は?
各ネット証券では投資信託に関して保有残高に応じたポイント還元と、クレジットカード積立によるポイント還元があります。(保有残高によるポイント還元もクレジットカード積立もNISA口座も対象)
参考 投資信託でポイントが貯まるネット証券を比較!おすすめはどこ?
松井証券(公式サイト)はクレカ積立に対応していませんが、投資信託保有時のポイント還元率は最高水準となっています。
クレジットカード積立のポイント還元率は、年会費がかかるカードであれば SBI証券 が最高水準ですが、実質年会費がかからない一般カードであればマネックス証券が最高水準です。
トータルのポイント還元率が業界最高水準のマネックス証券
- 保有残高によるポイント還元率(低コストファンド):0.03%(一部0.03%未満もあり)
- クレジットカード積立によるポイント還元率:1.1%
クレジットカード積立を利用し、トータルのポイント還元率が業界最高水準なのがマネックス証券です。
クレジットカード積立で必要なマネックスカードは、マネックス証券を口座開設すれば作ることができ、1回以上クレジットカードの利用があれば無料となり、投信積立でも対象となるので、積立している間は費用は掛かりません。
貯まったポイントは株式手数料や暗号資産に交換することや、他のポイントサービス(dポイント・Tポイント・Pontaポイントなど)に交換することも可能です。
保有残高によるポイント還元率が高くクレカ積立もできるSBI証券
- 保有残高によるポイント還元率(低コストファンド):0.0175%~0.063%
- クレジットカード積立によるポイント還元率:0.5%(一般カード)
ゴールドカードなら1%・プラチナカードなら2%・プラチナプリファードなら5%
投資信託の保有残高によるポイント還元率は高水準で、低コストな投資信託にクレジットカード積立を利用しない場合にはおすすめです。
クレジットカード積立で一般カードだと還元率は低いですが、ゴールドカードは年間で100万円以上利用すれば翌年以降の年会費永年無料となるので条件クリアできそうであればゴールドカードの方がおすすめです。(ただしクレジットカード積立は集計対象外です)
>> 三井住友カード(NL)
保有残高によるポイント還元率が業界最高い水準の松井証券
- 保有残高によるポイント還元率:0.01%~1%
- クレジットカード積立によるポイント還元はなし
松井証券は投資信託の保有残高によるポイント還元率がどの投資信託も業界最高水準です。
クレジットカード積立によるポイント還元がないので、クレジットカード積立を利用しない方にはおすすめです。
松井証券では、他の金融機関で保有している株式や投資信託を待つ証券に移管する際に、移管元の金融機関に支払った手数料を全額負担してくれるので実質無料で移管することができ、移管後は投資信託の保有残高によるポイント還元を受けることができます。
Pontaポイントが貰えるauカブコム証券
- 保有残高によるポイント還元率(低コストファンド):0.005%(一部0%)
- クレジットカード積立によるポイント還元率:1%
投資信託の保有残高によるポイント還元は低いのですが、クレジットカード積立によるポイント還元率は1%と高めの還元率です。
スマホでauを利用していると貯めやすいPontaポイントが貯まり、auじぶん銀行と連携すれば普通預金の金利が年率0.1%となり、au Payなどとも連携すれば0.2%になる点もメリットがあります。
またauマネ活プランに入ればauじぶん銀行の普通預金の金利が最大0.3%になったり、クレジットカード積立によるポイント還元率が最大3%とさらに優遇されます。
楽天ポイントが貰える楽天証券
- 保有残高によるポイント還元率:ー(4つのファンドのみポイント還元あり)
- クレジットカード積立によるポイント還元率:0.5~1%(一般カード)
ゴールドカードなら0.75%~1%・プレミアムカードなら1%・
楽天証券では、保有残高によるポイント還元率が「一定の残高をはじめて達成した場合」のみポイントが還元されるルールに変更され、実質保有残高によるポイント還元はほぼなくなりました。
クレジットカード積立は一般カードで低コストなファンド(※)は0.5%でその他のファンドは1%となっています。
※代行手数料が年率0.4%(税込)未満のファンド
楽天ポイントは楽天経済圏では貯めやすく、様々なサービスで利用できるので、楽天ポイントを貯めたい方は楽天証券という選択肢もあるかと思います。
>> 楽天カード(公式サイト)
今利用している証券会社から他の証券会社に投資信託などは移管することが可能です。
通常は移管元の証券会社で手数料が必要になりますが、下記のネット証券なら移管元で支払った移管手数料をキャッシュバックしてくれるので実質無料で移管することができます。
投資信託に投資するのにおすすめの証券会社は?
ネット証券では投資信託に関するポイント還元など様々なサービスを行っていますが、どのような違いがあるのか、おすすめはどこかは下記も参考にしてみてください。
参考 【投資信託】ネット証券おすすめ比較ランキング!お得な口座は?
その他各資産クラスの投資信託の比較
株式 | 国内 | 国内株式インデックスファンド(投資信託)を比較!おすすめは? |
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