大手ネット証券の一つであるauカブコム証券は、三菱UFJフィナンシャル・グループのネット証券会社です。
三菱UFJフィナンシャル・グループという安心感がある一方、株式や投資信託などのサービス内容はどのような特徴があるのか、メリット、デメリットについて確認してみました。
auカブコム証券とは?
auカブコム証券は、1999年設立の大手ネット証券の一つで、三菱UFJフィナンシャル・グループのネット証券会社です。
口座数は約110万口座で、ネット証券ではSBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券に次いで5位となっています。
「リスク管理追求型サービス」をコンセプトとし、数多くの発注方式が提供されていて、ほとんどのシステムを自社開発しているのでこのような多彩な発注方式が実現されています。
auカブコム証券のメリットは?
【株式】売買手数料は普通だが、割引サービスがある
株式の売買手数料は、他のネット証券では「株取引一回ごとに手数料を払う」タイプと、「一日の取引額の合計に応じて手数料を払う」タイプがありますが、auカブコム証券が提供しているのは、「株取引一回ごとに手数料を払う」タイプのみです。
そのため、一日何度も取引するような場合には「一日の取引額の合計に応じて手数料を払う」タイプを提供しているネット証券の方が低コストで取引ができる可能性があります。
一日に頻繁に取引しないのであれば、auカブコム証券の手数料も一回の約定代金が50万円までなら大手ネット証券では比較的低コストで取引できます。
5万円 まで | 10万円 まで | 20万円 まで | 30万円 まで | 50万円 まで | 100万円 まで | 300万円 まで |
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SBI証券 | 50円 | 90円 | 105円 | 250円 | 250円 | 487円 | 921円 |
楽天証券 ※1 | 50円 | 90円 | 105円 | 250円 | 250円 | 487円 | 921円 |
auカブコム証券 | 90円 | 90円 | 180円 | 250円 | 250円 | 990円 | 2,790円 |
マネックス証券 | 100円 | 100円 | 180円 | 250円 | 450円 | 1,000円 ※2 | 3,000円 ※2 |
※1:超割コースでの手数料です
※2:成行の場合の手数料で指値の場合は1.5倍
また、auカブコム証券では株式手数料の割引サービスがあるので該当の方はお得に取引することができます。
割引対象 | 割引率 | |
シニア割引 | 50歳以上の方 | 60歳以上4% 50歳以上60歳未満2% |
女子割 | 女性の方 | 1% |
NISA割 | NISA口座を開設してる方 (一般、つみたて、ジュニア) |
1%(1年目)~5%(5年目) |
株主推進割引 | 対象となる銘柄を買い付けるとき | 最大50% 銘柄によって異なる(詳細) |
株主優待割引 | auカブコム証券の株式保有者 | 最大15% 株数、保有期間によって異なる(詳細) |
auで株式割 | auカブコム証券で au IDを登録した方 |
1% |
複数の割引サービスの対象であればそれらが適用され割引率が大きくなっていきます。
【株式】多彩な発注方法
auカブコム証券では、多くの発注方法が提供されていて現物取引だけでなく、信用取引や先物・オプション取引でも利用できます。
注文方式 | 概要 |
---|---|
逆指値 | 「指定の価格まで下落したら売り」、「指定の価格まで上昇したら買い」といった指値と逆の注文方法です。トレンドフォロー時やロスカット(損切)注文を出すときに利用できます。 |
W指値 | 株価の上下で指値と逆指値がを同時に出すことができる注文方法です。300円の株を保有してて、400円の指値売り(利益確定)と250円以下になったら売り(損切)という両方の注文を出せる注文方法です。 |
±指値注文 | 「始値・終値・約定価格」を基準とした注文が出せる注文方法です。始値から5円以上上がったら成行(もしくは指値)で買うといった注文方法です。 |
リレー注文 | A株が売却できたら、B株の買付を発注予約するといった注文方法です。 |
Uターン注文 | A株が300円で買えたら、400円で売り注文を出すといった注文方法です。 |
トレーリングストップ注文 | ロスカット(逆指値)を株価の変動に合わせて自動修正させる注文方法です。300円の株を保有していて、250円で逆指値を出したとします。株価が上昇し350円になったら逆指値注文は300円に自動修正されるといった注文方法です。 |
時間指定注文 | 「○時○分になったら」「○分後になったら」といった時間を指定して発注/訂正/取消できる注文方法です。 |
バスケット(一括)注文 | 「現物」「信用」「先物」「オプション」の複数の注文を、1つのバスケットとして登録し、これらの注文を一括で発注することが可能な注文方法です。 |
IOC注文 | 指定した値段かそれよりも有利な値段で、即座に一部あるいは全部を約定させ、成立しなかった注文数量はキャンセルされる注文方法です。 |
うまく活用すれば、相場に張り付かなくても自動で売買してくれるので、投資の幅を広げることができます。
【株式】高機能な取引ツール(トレードツール)が実質無料で利用できる
auカブコム証券では様々なツールが提供されていますが、その中でも豊富な発注機能や幅広い投資情報を網羅した、 自社開発の高機能・高速トレーディングツール「kabuステーション」という取引ツールを提供しています。
独自のビッグデータ解析技術、情報サービスにより投資情報の拡充を行い、個人投資家ならではの着眼点による銘柄選びをサポートする高機能なツールで、現物株式、信用取引、先物・オプション取引で利用できます。
「kabuステーション」を利用するには972円(税込)/月が必要となる有料のツールですが、以下のいずれかに該当する場合は無料で利用することができます。
- 初回申込みの翌々月第1営業日まで
- 全取引における約定回数が1回以上で翌月無料(SQ決済は対象外)
- 申込日の前営業日(継続は前月末)のお預り資産100万円以上で翌月無料
- 信用口座開設済みの場合無料(新たに信用口座を開設する場合は開設完了日以降の申込から無料)
- 先物オプション、FX、取引所CFDいずれかの口座を新規開設すると翌月無料
この中でも特に「信用口座開設済みの場合無料」はハードルが低く実質無料で利用することができるので、「kabuステーション」を利用したい方は信用口座開設をしておくことをおすすめします。
>> auカブコム証券(公式サイト)
【株式】貸株で貸株料がもらえる
auカブコム証券に預けている株式、ETF、REITをauカブコム証券に貸し出せば貸株料が貰える貸株サービスを提供しています。
年率1%以上の銘柄は200以上あり、配当金や株主優待以外の収入が期待できます。
信用取引口座を開いていると「貸株サービス」が利用できない証券会社もありますが、auカブコム証券では、信用取引口座を開設していてもサービスの併用は可能です。
また、自動優待取得設定をしていれば、貸出中の株式でも自動で返却されるので、手間いらずで、貸株料も株主優待も両方を受取ることができます。
自動優待取得設定をしていて、配当金と株主優待の権利付最終日が同日の場合は、通常通り発行会社から配当金が支払わますが、それ以外は配当金は直接受け取りはできずに配当金相当額としての受け取りとなり、雑所得扱いとなり配当控除は対象外となります。
【株式】IPOは平等抽選
auカブコム証券に配分されたIPO株数は、ほぼ100%が平等抽選により当落が決まるので、資金量や過去の取引量などに関係なく誰でも当選する可能性があります。
同じ三菱UFJフィナンシャル・グループの三菱UFJモルガン・スタンレー証券が引き受けるIPOに関しては、auカブコム証券経由でほぼ100%申し込みが可能です。
特に三菱UFJモルガン・スタンレー証券が主幹事の時には、かなり多くの株数がauカブコム証券に割り当てられる傾向があるので当選確率が高まることが期待できます。
>> auカブコム証券(公式サイト)
【株式】1株からの少額投資で積立も可能
株式は、一部の銘柄では数百万円以上必要な銘柄もありますが、auカブコム証券では1株からの少額投資が可能な「プチ株」という単元未満株を売買できるサービスを提供しています。
1株からの購入でも正規の株主となるため、配当や株式分割の割り当ても株数に応じて配分され、プチ株を買い足して単元株とすることもできます。
手数料は、約定代金の0.5%で最低手数料は48円となっています。(ただし、売り約定代金が108円以下の場合は、手数料は無料)
例えば株価が1万円で100株単位で購入できる銘柄の場合、1株から投資ができるので投資金額は1万円となりますが手数料は下記のようになります。
最低手数料が48円なので、あまり株価が安いと手数料が割高となってしまいますが、「キーエンス」やユニクロを手がける「ファーストリテイリング」のような株価が高い銘柄は、プチ株のように1株から購入できると低額から投資ができます。
さらに、プチ株は積立することもでき、毎月500円以上1円単位の少額から投資ができ、株価が高い時は買い付ける株数は少なく、株価が低い時には買い付ける株数は多くなるので平均の買付単価を長期的に引き下げることが期待できます。
手数料は初回積立時には割引はありませんが、
積立回数に比例して割引されていき、最大で50%まで手数料が割引されます。
auカブコム証券の引き落としだけでなく下記の銀行であれば入金手数料無料で自動引落も可能です。
【株式】一般信用取引で売建できる銘柄数が多いので、株主優待のつなぎ売りに有利
auカブコム証券の信用取引は制度信用取引だけでなく一般信用取引も可能で、一般信用取引で売建てできる銘柄数が多く、株式投資で人気の高い株主優待をお得に獲得できる「つなぎ売り」をするのに有利となっています。
つなぎ売りは、現物の株式の購入と同じ銘柄の一般信用取引の売建てを行うことによって株価の変動リスクを抑え株主優待を得られる手法ですが、一般信用取引の売建て銘柄数がネット証券でもダントツに多いので、多くの銘柄でつなぎ売りをすることができます。
【ETF】ETFが手数料無料で投資できる「フリーETF」
国内上場のETFは、投資する際には主に売買手数料と信託報酬がコストとして必要となりますが、下記のETFに関しては現物でも信用でも売買手数料が無料となります。
名称 | コード | ベンチマーク | 信託報酬 |
MAXIS 日経225上場投信 | 1346 | 日経平均株価 | 0.17% |
MAXIS トピックス上場投信 | 1348 | TOPIX | 0.078% |
MAXIS JPX日経インデックス400 上場投信 |
1593 | JPX日経インデックス400 | 0.078% |
MAXIS Jリート上場投信 | 1597 | 東証REIT指数 | 0.25% |
MAXIS JPX日経中小型株指数上場投信 | 1492 | JPX日経中小型株指数 | 0.5% |
MAXIS 海外株式(MSCIコクサイ) 上場投信 |
1550 | MSCIコクサイ インデックス |
0.25% |
SPDR S&P500 ETF | 1557 | S&P500指数 | 0.0945% |
ABF汎アジア債券 インデックス・ファンド |
1349 | Markit iBoxx ABF汎アジア指数 | 0.18% |
【ETF】ETFの自動積立投資が可能
auカブコム証券では、国内上場のETFの自動積立が可能で500円から1円単位の少額から積立投資が可能です。
ただし、「フリーETF」や1単元が1口の銘柄は対象外となっている点は注意が必要です。
手数料や手数料の割引サービス、入金手数料無料で自動引落ができる銀行などはプチ株の積立と同じ条件となります。
【投資信託】低コストインデックスファンドは一通り取り扱っている
auカブコム証券では、投資信託の取り扱い数は約1,100、買付手数料無料のファンドも約680と数多くの投資信託に投資することが可能です。
特に、下記のような低コストインデックスファンドシリーズの取り扱いもあり、一括投資でも積立でも100円から投資が可能です。
- eMAXIS Slimシリーズ
- ニッセイ<購入・換金手数料なし>シリーズ
- たわらノーロードシリーズ
- iFreeシリーズ
- 三井住友・DCシリーズ
- Smart-iシリーズ
- 楽天・バンガード・ファンド
- SBIインデックス・ファンドシリーズ(旧EXE-i)
ただ、すべての低コストインデックスファンドシリーズのすべてのファンドを取り扱っているわけではなく、一部のファンドに関しては取り扱いがないものもあります。(例えばたわらノーロードシリーズの「たわらノーロードNYダウ」は取り扱っていません)
【投資信託】投資信託保有時にポイントが貯まる
auカブコム証券に投資信託を預けておけば、月間平均保有残高100万円毎に自動で1ポイントが付与され(月間平均保有額が3,000万円以上なら100万円毎に2ポイント)、100ポイントで1万円の現金が貰えます。
例えば、100万円の残高があれば毎月1ポイントが貰え、年間12ポイント貰えるので年率0.12%と他のネット証券よりお得感があります。
ただ、低コストなインデックスファンドは対象外だったり、ポイント有効期限が3年なので残高が300万円以上ないとポイント交換ができないなどのデメリットがあるので、下記のデメリットも確認してみてください。
auカブコム証券のデメリットは?
【株式】約定代金が大きいと手数料は他社と比べて割高
株式の手数料は約定代金が50万円以上となると他のネット証券と比較しても割高感は否めません。
約定代金が大きい銘柄を取引したい場合には、他のネット証券を利用することも検討してみてください。
【株式】プチ株はリアルタイムでの売買ではない
1株からの少額投資が可能な「プチ株」は、24時間注文を受け付けていますが場が開いている時間帯でもリアルタイムに売買されるわけではないので、想定と異なる価格で約定する可能性があります。
注文方法も成行注文だけなので、指値での注文はできません。
【株式・ETF】外国株や海外ETFの取り扱いはない
auカブコム証券では、国内株式やETFは購入できますが、外国株や海外ETFの取り扱いはありません。
そのため、米国株や海外ETFなどに投資したい場合は他のネット証券を利用する必要があります。
【投資信託】投資信託保有時のポイントは低コストインデックスファンドは対象外
auカブコム証券では、投資信託を保有しているだけでポイントが貰えますが、ポイント対象の投資信託は、低コストなインデックスファンド(信託報酬が0.24%未満)は対象外となっています。
参考 auカブコム証券「ポイント集計除外ファンド」
信託報酬が比較的高いファンドを中心に投資したい場合はポイントが貰えますが、低コストなインデックスファンド中心に、投資したい場合にはあまりお得感がなく他のネット証券を利用した方がいいでしょう。
【投資信託】投資信託保有時のポイントは残高は300万円以上ないとポイント交換ができない
auカブコム証券では、投資信託を保有しているだけで貰えるポイントは有効期限が3年となっていて、100ポイント貯めないと現金に交換ができずポイントが失効してしまいます。
3年で100ポイント貯める必要があるので、毎月3ポイント貯めないとポイント交換ができないので平均保有残高が300万円以上ないとポイント交換ができないこととなります。
ポイント付与対象は100万円毎に1ポイント付与されるので、例えば平均保有残高が290万円の場合は2ポイントしか貰えないなど100万円未満は切り捨てられてしまう点も注意が必要です。
まとめ
auカブコム証券は、1999年設立の大手ネット証券の一つで、三菱UFJフィナンシャル・グループのネット証券会社で、口座数は約110万口座で、ネット証券ではSBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券に次いで5位となっています。
そんなauカブコム証券のメリット、デメリットとしては下記のような点が挙げられます。
auカブコム証券のメリット
- 【株式】売買手数料は普通だが、割引サービスがある
- 【株式】多彩な発注方法
- 【株式】高機能な取引ツール(トレードツール)が実質無料で利用できる
- 【株式】貸株で貸株料がもらえる
- 【株式】IPOは平等抽選
- 【株式】1株からの少額投資で積立も可能
- 【株式】一般信用取引で売建できる銘柄数が多いので、株主優待のつなぎ売りに有
- 【ETF】ETFが手数料無料で投資できる「フリーETF」
- 【ETF】ETFの自動積立投資が可能
- 【投資信託】低コストインデックスファンドは一通り取り扱っている
- 【投資信託】投資信託保有時にポイントが貯まる
auカブコム証券のデメリット
- 【株式】約定代金が大きいと手数料は他社と比べて割高
- 【株式】プチ株はリアルタイムでの売買ではない
- 【株式・ETF】外国株や海外ETFの取り扱いはない
- 【投資信託】投資信託保有時のポイントは低コストインデックスファンドは対象外
- 【投資信託】投資信託保有時のポイントは残高は300万円以上ないとポイント交換ができない
もちろん口座開設・維持費用は無料なので、この機会に口座開設を検討してみてください。
>> auカブコム証券(公式サイト)
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