トラリピには複数の売買戦略がありますが、ハーフ&ハーフは売買戦略の一つで比較的初心者でも仕掛けやすい仕組みです。
そんなハーフ&ハーフのメリットやデメリットについて解説します。
トラリピのハーフ&ハーフとは?
トラリピは、「このくらいの範囲で相場が動きそう」と予想したところを為替レートが上下することにより利益を積み重ねていく仕組みです。
参考 トラリピの評判や評価ってどう?メリットやデメリットを解説!
トラリピではFXなので買いも売りも仕掛けることができますが、仕掛ける範囲(レンジ)の上半分に売りのトラリピ、下半分に買いのトラリピを仕掛けるのがハーフ&ハーフです。
上の図の場合は下記のような注文を仕掛けることになります。
- 80円から90円の間に「買い」注文
- 90円から100円の間に「売り」注文
トラリピのハーフ&ハーフのメリットは?
トラリピのハーフ&ハーフのメリットとしては下記のような点が挙げられます。
- トラリピで必要な資金を抑えることができる
- 同じ資金でレンジ幅を広げることができる
トラリピで必要な資金を抑えることができる
ハーフ&ハーフの最大の利点はトラリピに必要な資金を抑えることができる点で、3分の1程度にまで抑えることが可能です。
トラリピでの必要資金は大きく分けて2つに分けられます。
- 仕掛けたレンジ幅の注文がすべて成立した場合の必要証拠金
- レンジの下限(もしくは上限)に達した時の評価損
例えば下記のような条件で買いのトラリピだけを設定するとします。
- 米ドル円の買い
- レンジを80円~99円
- 本数は20本
- 1本あたり1万通貨
上記の条件をトラリピ運用試算表に入力した結果が下記となります。
上記の「必要資金の合計」である254万円が必要ということになります。
次にハーフ&ハーフの場合は、同じレンジ幅の下半分に買いのトラリピ、上半分の売りのトラリピを仕掛けることになります。
ハーフ&ハーフで最も資金が必要となる場合は下記の図でというとAの地点かBの地点となります。
例えばAの地点を考えると90円以上の売りのトラリピは、A地点に下がるまでにすでに利益を確定しポジションが解消されているので売りのトラリピでは資金が必要なくなります。(利益確定の値幅が大きい時には売りのポジションが残る場合もあります)
そのため、A地点でどの程度資金が必要かを考えればいいので、A地点での買いのトラリピの必要資金を算出してみます。(上記での条件と本数のみが異なっています)
- 米ドル円の買い
- レンジを80円~89円
- 本数は10本
- 1本あたり1万通貨
ハーフ&ハーフの買いトラリピの条件をトラリピ運用試算表に入力した結果が下記となります。
必要資金の合計は77万円となっています。
同じレンジ幅で同じく1円間隔でトラリピを仕掛ける設定ですが、買いトラリピのみの場合は254万円が必要で、ハーフ&ハーフの時は77万円と約3分の1の資金で運用できることになります。
資金が少なくてもハーフ&ハーフを利用すれば想定レンジをカバーする運用が行えるのはメリットと言えます。
同じ資金でレンジ幅を広げることができる
買いもしくは売りだけのトラリピよりもハーフ&ハーフは少ない資金で運用できるということは、同じ資金でよりレンジを広げることができるということになります。
想定レンジをむやみに広げてもあまり意味はありませんが、2008年頃のリーマンショック級の変動が起きてもロスカットされない範囲まで想定しておけば長期で運用できる可能性が高まります。
トラリピのハーフ&ハーフのデメリットとは?
トラリピのハーフ&ハーフのデメリットとしては下記のような点が挙げられます。
- レンジの上下に損失リスクがある
- マイナススワップが発生する
レンジの上下に損失リスクがある
例えば買いのトラリピだけの場合は、レートが上昇してレンジを上抜いても損失はありませんが、レンジを下抜けると含み損が大きくなり最悪強制ロスカットされてしまう損失リスクがあります。
ハーフ&ハーフの場合はレンジの片方だけでなく上と下に損失リスクがあります。
そのため、ハーフ&ハーフはレンジ幅を広くとってなるべくレンジ内でレートが動くような設定をすることが重要になってきます。
マイナスのスワップポイントが発生する
FXのスワップポイントとは、通貨間の金利差調整分のことで、金利の低い通貨を売って、金利の高い通貨を買えば、2通貨間の金利差を受け取ることができます。
参考 FXのスワップポイントとは?2カ国間の金利差を低リスクで日々もらうには?
例えば日本円のように低金利の通貨を売って、金利の高い米ドルを買えば金利差分を受け取ることができます。
そのため、FXでは米ドル円の買いポジションを保有すれば、スワップポイントを受け取ることができますが、ハーフ&ハーフでは売りも仕掛けるので売りのポジションについてはスワップポイントの支払いが発生します。
例えば下記は米ドル円のスワップポイントですが、売りのポジションの保有していると1日で約255円の支払いが発生しています。
この週の場合1週間で約1,800円の支払いが発生しているので、トラリピで1回の利益を1,000円としていたら同じ期間内に2回は決済していないとマイナスとなってしまいます。
マイナスのスワップポイントが発生しても、売買益で上回っていれば問題ありませんが、特に低金利の日本円と高金利通貨(トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソなど)との組み合わせは注意が必要です。
トラリピのハーフ&ハーフに向いてる通貨ペアを選ぶポイントは?
トラリピのハーフ&ハーフに向いている通貨ペアを選ぶポイントとしては下記のような点が挙げられます。
- レンジ相場を形成している
- マイナスのスワップポイントが小さい
レンジ相場を形成している
ハーフ&ハーフは想定レンジ内で為替レートが上下することにより利益を積み重ねる戦略なので、レンジ相場を形成している必要があります。
例えばトルコリラ円のように右肩下がりのチャートとなっていると、レンジを下抜ける可能性が高くハーフ&ハーフには不向きです。
トラリピの公式サイトでは「トラリピ戦略リスト」として通貨ペアとその売買戦略が公開されていて、ハーフ&ハーフでは「ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ(NOK/SEK)」「ユーロ/英ポンド(EUR/GBP)」が紹介されています。
例えば下記は「ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ(NOK/SEK)」の過去10年間のチャートですが、トラリピ戦略リストでは、1.025を中心に上は1.1、下は0.95でのハーフ&ハーフのパフォーマンスが公開されています。(マネースクエアに口座開設後ログインすれば確認できます)
直近では、下限を割り込みレンジアウトしてしまってますが、過去10年の値動きを見る限り、概ね戦略リストのレンジ内での値動きとなっているのでハーフ&ハーフを仕掛けるという戦略は機能しそうです。
マイナスのスワップポイントが小さい
ハーフ&ハーフのデメリットにも記載しましたが、ハーフ&ハーフはマイナスのスワップポイントが発生します。
トラリピでは、なかなか決済されずにポジションを保有し続ける場合があり、そのポジションでマイナスのスワップポイントが発生していると精神的にもきつくなります。
そのためマイナススワップポイントは小さい方が良いのですが、上述した「ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ(NOK/SEK)」「ユーロ/英ポンド(EUR/GBP)」のマイナススワップポイントは他の通貨ペアと比べると小さく、ハーフ&ハーフに向いてると言えます。
買い | 売り | |
米ドル/円 | 169円 | -253円 |
ユーロ/円 | 144円 | -160円 |
ユーロ/米ドル | -90円 | 54円 |
ユーロ/英ポンド | -90円 | 82円 |
ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ | 0円 | 0円 |
豪ドル/円 | 108円 | -136円 |
豪ドル/米ドル | -30円 | 1円 |
豪ドル/ニュージーランドドル | 9円 | -17円 |
ニュージーランドドル/円 | 87円 | -114円 |
ニュージーランドドル/米ドル | -34円 | 16円 |
カナダドル/円 | 120円 | -133円 |
米ドル/カナダドル | 219円 | -243円 |
英ポンド/円 | 197円 | -223円 |
英ポンド/米ドル | 1円 | -16円 |
トルコリラ/円 | 6円 | -45円 |
南アフリカランド/円 | 2円 | -14円 |
メキシコペソ/円 | 8円 | -16円 |
※2025年3月7日適用分
まとめ
トラリピのハーフ&ハーフのメリット・デメリットについては下記のような点が挙げられます。
ハーフ&ハーフの売買戦略は、レンジの上下に損失リスクがあったり、マイナススワップポイントが発生するので通貨ペア選びも重要になってきます。
ただ、レンジさえ決めれば簡単に設定できで、買いだけ売りだけより必要資金が抑えられ少額からでも運用が可能なのでぜひ活用してみてください。
ハーフ&ハーフの応用としてコアとなるレンジ帯に資金を割り振り収益力を高めたダイヤモンド戦略という売買戦略もあります。