FXスワップポイントのサヤ取りとは?利回りはどのくらい?

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FXスワップポイントのサヤ取りとは?利回りはどのくらい? FX

FXで日々貰えるスワップポイントは業者によって異なるため、それを利用したスワップポイントのサヤ取り(アービトラージ)という手法があります。

為替相場が上昇しようが下降しようがスワップポイントの利益を得ることができますが、どんな方法で行い利回りはどの程度となるのか紹介します。

スワップポイントのサヤ取り(アービトラージ)とは?

サヤ取りは、アービトラージ・裁定取引とも呼ばれ、同一の商品や同じ性格をもつ2つの商品の市場の歪みによる金利差や価格差に着目して利益をあげる手法です。

 

FXでは、金利の低い通貨を売って、金利の高い通貨を買えば外貨預金の利息に相当するスワップポイントを日々得られることができ、逆に金利の低い通貨を買って、金利の高い通貨を売ればスワップポイントを支払うこととなります。

参考 FXのスワップポイントとは?2国間の金利差を低リスクで日々もらうには?

 

例えば、「オーストラリアドル/円」を購入した場合、オーストラリアドルを買って円を売るということになりますが、スワップポイントを左右する政策金利がオーストラリアが2%、日本が0.1%としたとき、「オーストラリアドル/円」を買えば1.9%のスワップポイントを得られることができ、逆に売れば1.9%のスワップポイントを支払うこととなります。

政策金利差

 

買いや売りのスワップポイントはFX会社によって異なるため、その歪みに着目し、買いのスワップポイントが高いFX会社で買いポジションを保有し、売りのスワップポイントが低い(支払う金額が少ない)FX会社で売りポジションを保有し、買いと売りのスワップポイントの差分を得ようというのがスワップポイントのサヤ取りです。

参考 FXのポジションとは?ポジションを持ち続けることは可能?

 

スワップポイントのサヤ取りは異業者間で両建てすることとなるので、為替レートが上昇しようが下降しようが為替差損益は変動しないため、為替リスクがなく低リスクで、やり方も簡単なので誰でも運用しやすいといった特徴があります。

スワップポイントのサヤ取り(アービトラージ)の方法とは?

スワップポイントのサヤ取り(アービトラージ)を行うには、基本的には同一通貨ペアを同一数量、同じ価格で、

  • 買いのスワップポイントが高いFX会社で買いポジションを保有
  • 売りのスワップポイントが低いFX会社で売りポジションを保有

このように異なるFX会社間で両建ての状態とすることにより、為替変動リスクなしで買いのスワップポイントと売りのスワップポイントの差分を得られることとなります。

 

例えばA会社でオーストラリアドル円を1万通貨買って、スワップポイントが50円、B会社で1万通貨売ってスワップポイントがー30円だとします。

 

【円高となった場合】
オーストラリアドル円が1円円高となっても下記の様に為替リスクはなく、スワップポイントの差分である20円が毎日利益となります。

  • A会社での為替差損益は、1万通貨 × +1円 = +1万円
  • B会社での為替差損益は、1万通貨 × ー1円 = ー1万円

 

【円安となった場合】
オーストラリアドル円が1円円安となっても下記の様に為替リスクはなく、スワップポイントの差分である20円が毎日利益となります。

  • A会社での為替差損益は、1万通貨 × ー1円 = ー1万円
  • B会社での為替差損益は、1万通貨 × +1円 = +1万円

スワップポイントのサヤ取り(アービトラージ)のデメリット・リスクは?

資金は買いと売りで必要なので資金効率は悪い

スワップポイントのサヤ取り(アービトラージ)では、異なるFX会社で買いのポジションと売りのポジションを保有することとなるので、それぞれでポジションを維持するための証拠金が必要となります。

 

そのため、買いのポジションのみを保有する場合と比べて証拠金が2倍必要となり、得られるスワップポイントも買いのポジションのみを保有する場合と比べて少なくなるため資金効率は悪くなります。

 

それでも為替変動リスクがなくなるといった大きなメリットがあるので、大きな為替レートの下落があったとしても手堅く利益を積み重ねることができます。

スワップポイントは変動するためマイナスとなる可能性がある

スワップポイントは日々変動するため、買いのスワップポイントと売りのスワップポイントの差が小さくなることや、マイナスになってしまう可能性があります。

 

通常はそれほど大きくスワップポイントが動くことはありませんが、FX会社の都合等により変更されたりもするので定期的に確認しておいた方がいいでしょう。

ロスカットされる可能性がある

買いのポジションと売りのポジションを異なるFX会社で保有していれば、両方の口座を合わせれば為替差損益は相殺されますが、一つの口座だけを考えれば大幅に為替レートが動けばロスカットされる可能性があります。

参考 FXの強制ロスカットとは?計算方法や証拠金維持率・レバレッジとの関係は?

 

例えばオーストラリアドル円でスワップポイントのサヤ取りを行っていて、大幅に円高となった場合には、売りのポジションは大幅に含み益となっていますが、買いのポジションは大幅に含み損となっていて最悪ロスカットされてしまう可能性があります。

 

そのためにロスカットされる前に資金を追加する必要が出てきます。

 

含み益が出ている口座から含み損となっている口座に資金を移動させるという方法もありますが、リアルタイムにFX会社間で資金移動ができるわけではないので、急激に為替レートが動いてる場合には資金移動が間に合わずロスカットとなる可能性もあるので、別の資金を追加する準備をしておくことをおすすめします。

 

また、買いと売りで指値・逆指値の注文を入れておいて、ロスカットされる前に両方の口座を決済してしまい一旦仕切り直すといった方法も有効です。

スワップポイントのサヤ取りの利回りは?

スワップポイントのサヤ取り(アービトラージ)ではどのくらいの利益がでるのか、各通貨ペアごとに算出したのが下記となります。

通貨ペア 買いのスワップポイント
が高いFX会社
売りのスワップポイント
が安いFX会社
差分 期待利回り
米ドル円 +205円
ヒロセ通商【LION FX】 JFX株式会社 みんなのFX LIGHT FX LIGHT FX(LIGHTペア)
-201円
GMOクリック証券【FXネオ】
4円 0.05%
豪ドル円 +125円
GMOクリック証券【FXネオ】
-114円
岡三オンライン【くりっく365】
11円 0.20%
NZドル円 +112円
GMO外貨(外貨ex)
-105円
みんなのFX LIGHT FX
7円 0.14%
カナダドル円 +118円
岡三オンライン【くりっく365】
-100円
みんなのFX LIGHT FX
18円 0.30%
南アフリカ
ランド円
+18.5円
GMOクリック証券【FXネオ】 みんなのFX LIGHT FX LIGHT FX(LIGHTペア)
-16.5円
岡三オンライン【くりっく365】
2円 0.42%
トルコリラ円 +45円
GMOクリック証券【FXネオ】 ヒロセ通商【LION FX】 みんなのFX LIGHT FX LIGHT FX(LIGHTペア)
-32円
岡三オンライン【くりっく365】
13円 5.33%
メキシコ
ペソ円
+25.6円
GMO外貨(外貨ex)
-20.5円
岡三オンライン【くりっく365】
5.1円 1.23%

※スワップポイントは2024年11月5日前後適用分
※期待利回りは算出時点の為替レートより買いと売りに必要な証拠金(レバレッジ1倍)より算出

 

期待利回りは、買いのポジションのみを保有しているより落ちますが、「南アフリカランド円」「トルコリラ円」「メキシコペソ円」は為替変動リスクなしにもかかわらず、レバレッジ1倍だとそれぞれ約0.4%、約5.3%、約1.2%の利回りが期待できそうです

 

実際にはレバレッジをかけることによってより利回りを上げることができ、「南アフリカランド円」「トルコリラ円」「メキシコペソ円」でレバレッジを上げた場合の期待利回りについて算出してみます。

南アフリカランド円のサヤ取りの詳細は?

南アフリカランド円を買いと売りで各1万通貨保有した場合は下記の様になります。

レバレッジ 投資金額 年間スワップ 年間利回り ロスカットまでの値幅
(証拠金維持率100%)
1倍 173,180円 730円 0.42% 8.3円
2倍 86,590円 1,460円 0.84% 4.2円
3倍 57,727円 2,190円 1.26% 2.8円
5倍 34,636円 3,650円 2.11% 1.7円
10倍 17,318円 7,300円 4.22% 0.8円

レバレッジを上げればその分期待利回りも上がりますが、ロスカットされるリスクも上昇し、ロスカットまでの値幅が小さくなります。

参考 FXの強制ロスカットとは?計算方法や証拠金維持率・レバレッジとの関係は?

 

過去南アフリカランド円が1年間にどの程度為替レートが動いたかは下記の様になっています。

始値 高値 安値 終値 高低差
2023 7.68円 8.31円 6.89円 7.69円 1.42円
2022 7.19円 8.78円 7.1円 7.69円 1.68円
2021 7.03円 8.15円 6.63円 7.2円 1.52円
2020 7.74円 7.78円 5.57円 7.02円 2.21円
2019 7.59円 8.21円 6.73円 7.75円 1.48円
2018 9.07円 9.25円 7.08円 7.61円 2.17円
2017 8.54円 9.21円 7.78円 9.09円 1.43円
2016 7.77円 8.56円 6.3円 8.5円 2.26円
2015 10.37円 10.39円 7.54円 7.75円 2.85円
2014 10.円 10.78円 8.96円 10.36円 1.82円
2013 10.2円 11.21円 9.24円 9.99円 1.97円
2012 9.5円 11.05円 8.65円 10.17円 2.4円
2011 12.29円 12.82円 8.93円 9.46円 3.89円
2010 12.51円 13.05円 10.98円 12.24円 2.07円
2009 9.55円 12.55円 8.46円 12.51円 4.09円

2009年から2023年の高低差の平均は2.2円となっていたので、レバレッジ3倍だと1年間運用していて1回ロスカットされる可能性があるかないかといった感じです。

 

南アフリカランド円のロスカットまでの値幅を考慮すると、レバレッジは3~5倍程度なら資金管理の手間なども現実的に運用できそうです。

トルコリラ円のサヤ取りの詳細は?

トルコリラ円を買いと売りで各1万通貨保有した場合は下記の様になります。

レバレッジ 投資金額 年間スワップ 年間利回り ロスカットまでの値幅
(証拠金維持率100%)
1倍 88,960円 4,745円 5.33% 4.3円
2倍 44,480円 9,490円 10.67% 2.1円
3倍 29,653円 14,235円 16.00% 1.4円
5倍 17,792円 23,725円 26.67% 0.8円
10倍 8,896円 47,450円 53.34% 0.4円

ロスカットされるまでの値幅が小さいと、ロスカットされる前に資金を追加や移動するなど手動での対応が必要となり、運用上の手間がかかります。

 

そのため、1年間で為替レートが動いた高低差よりロスカットされるまでの値幅が大きければその分手間を抑えることができますが、過去トルコリラ円が年度別にどの程度為替レートが動いたかは下記の様になっています。

始値 高値 安値 終値 高低差
2023 6.96円 7.24円 4.67円 4.73円 2.57円
2022 8.5円 8.92円 6.9円 6.96円 2.02円
2021 13.84円 15.2円 6.09円 8.62円 9.11円
2020 18.17円 18.78円 12円 13.86円 6.78円
2019 20.53円 21.14円 15.96円 18.22円 5.18円
2018 29.7円 30.24円 15.4円 20.61円 14.84円
2017 33.1円 33.21円 27.98円 29.64円 5.23円
2016 41.28円 41.28円 30.61円 33.12円 10.67円
2015 51.33円 52.18円 38.8円 41.16円 13.38円
2014 49.円 53.98円 42.88円 51.32円 11.1円
2013 48.54円 56.67円 46.87円 48.98円 9.8円
2012 40.84円 48.65円 40.49円 48.65円 8.16円
2011 52.66円 56.86円 40.24円 40.67円 16.62円
2010 62.07円 63.94円 54.49円 52.56円 9.45円
2009 58.86円 66.8円 52.3円 62.06円 14.5円

2009年から2023年の高低差の平均は9.3円となっていたので、レバレッジ1倍でも1年間運用していたらロスカットされる可能性はあり得るといった感じです。

 

年度によって値幅が大きく異なりますが、各年度の始値を見ればわかりますがトルコリラ円はずっと右肩下がりで下げていて、過去はその分為替レートが高いので高低差が大きくなっています。

 

トルコリラ円は例えば2011年のように高値56.86円から安値40.67円までと約16.6円の値動きがあるほど値動きが荒くなるような年度も過去にはありました。

 

一方2022年や2023年は年間で約2円程度と年々高低差が小さくなっています

メキシコペソ円のサヤ取りの詳細は?

メキシコペソ円を買いと売りで各1万通貨保有した場合は下記の様になります。

レバレッジ 投資金額 年間スワップ 年間利回り ロスカットまでの値幅
(証拠金維持率100%)
1倍 151,480円 1,862円 1.23% 7.3円
2倍 75,740円 3,723円 2.46% 3.7円
3倍 50,493円 5,585円 3.69% 2.4円
5倍 30,296円 9,308円 6.14% 1.5円
10倍 15,148円 18,615円 12.29% 0.7円

メキシコペソ円はトルコリラ円や南アフリカランド円と比較しても為替レートの差があまりないので、投資金額はそれほど変わりません。

 

ただ、南アフリカランド円とメキシコペソ円はFX会社によっては10,000通貨からしか取引できなかったりする点は注意が必要です。

 

また、2009年から15年間メキシコペソ円が1年間にどの程度為替レートが動いたかは下記の様になっています。

始値 高値 安値 終値 高低差
2023 6.715円 8.756円 6.598円 8.287円 2.158円
2022 5.578円 7.555円 5.366円 6.707円 2.189円
2021 5.173円 5.645円 4.996円 5.599円 0.649円
2020 5.731円 5.992円 4.221円 5.173円 1.771円
2019 5.574円 5.980円 5.195円 5.738円 0.785円
2018 5.734円 6.165円 5.269円 5.577円 0.896円
2017 5.644円 6.433円 5.169円 5.734円 1.264円
2016 7.002円 7.003円 4.873円 5.640円 2.131円
2015 8.115円 8.204円 6.769円 7.004円 1.435円
2014 8.075円 8.723円 7.441円 8.115円 1.282円
2013 6.741円 8.458円 6.698円 8.079円 1.760円
2012 5.516円 6.759円 5.332円 6.752円 1.427円
2011 6.557円 7.286円 5.392円 5.515円 1.893円
2010 7.098円 7.767円 6.337円 6.574円 1.430円
2009 6.612円 7.70円 6.083円 7.106円 1.617円

2009年から2023年の高低差の平均は1.51円となっていたので、レバレッジ5倍で1年間運用したら1回ロスカットされる可能性はあり得るといった感じです。

 

メキシコペソ円はトルコリラ円や南アフリカランド円よりも高低差が小さいので、よりレバレッジをかけた運用が可能そうです。

スワップポイントのサヤ取りを行うのにおすすめのFX会社は?

買いのスワップポイントが高いおすすめFX会社

買いのスワップポイントが高いFX会社は、通貨ペアによって異なりますが、高金利通貨である「南アフリカランド円」「トルコリラ円」ではGMOクリック証券、みんなのFX、LIGHT FXが安定的に高いスワップポイントとなっています。

 

>> GMOクリック証券【FXネオ】(公式サイト)[詳細解説]

>> みんなのFX(公式サイト)[詳細解説]

>> LIGHT FX(公式サイト)

 

「トルコリラ円」ではヒロセ通商もスワップポイントが高くなっています。

>> ヒロセ通商【LION FX】(公式サイト)[詳細解説]

 

また、「メキシコペソ円」ならGMO外貨のスワップポイントが高水準です。

 

>> GMO外貨(外貨ex)(公式サイト)

売りのスワップポイントが低いおすすめFX会社

売りのポジションでのスワップポイントの支払額が少なくなっているのは、くりっく365で売りのポジションを保有するのに向いています。

 

>> 岡三オンライン【くりっく365】(公式サイト)

参考 くりっく365を比較(手数料・ロスカットなど)!おすすめの取扱業者は?

まとめ

FXでは必勝法とも言われるスワップポイントのサヤ取り(アービトラージ)という手法があり、買いや売りのスワップポイントはFX会社によって異なるため、その歪みに着目し、買いのスワップポイントが高いFX会社で買いポジションを保有し、売りのスワップポイントが低いFX会社で売りポジションを保有し、買いと売りのスワップポイントの差分を得ようというのがスワップポイントのサヤ取りです。

 

スワップポイントのサヤ取り(アービトラージ)のメリット・デメリットとしては下記のような点が挙げられます。

 

メリット

  • 為替レートの変動に関係なく利益を上げることができるため低リスク
  • 運用方法は簡単で相場を読む必要がないので誰でも運用しやすい

 

デメリット

  • 資金は買いと売りで必要なので資金効率は悪い
  • スワップポイントは変動するためマイナスとなる可能性がある
  • ロスカットされる可能性がある

スワップポイントは日々変動するため期待利回りも日々変動しますが、「南アフリカランド円」「トルコリラ円」「メキシコペソ円」は為替変動リスクなしにもかかわらず、レバレッジ1倍でもそれぞれ約0.4%、約5.3%、約1.2%の利回りが期待できそうです

 

FXなのでレバレッジをかけることができ、年間の平均高低差を考慮するとレバレッジ3~5倍程度であれば資金管理の手間などを考慮しても現実的に運用できそうで、10%程度の利回りも期待できそうです。

 

ほったからかしできるような運用方法ではありませんが、多少の手間で為替変動リスクなくスワップポイントの差分を受け取れるので検討してみてください。