FXではポジションという言葉がよく使われ、「ポジションを持つ」とか「ポジションを建てる」といった表現がされますが、ポジションやポジションを持つとはどういう意味でしょうか?
また、ポジションを持ち続けることは可能なのか、決済との違いなどについてまとめてみました。
FXのポジションとは?
ポジションは建玉(たてぎょく)とも呼ばれますが、外貨の持ち高、つまり自分の保有する外貨の状態のことを言います。
FXでは、例えば米ドル/円といった通貨ペアを買ったり売ったりすることができますが、通貨ペアを買っている状態もしくは売っている状態のことを「ポジションを持っている」「ポジションを建てている」と言います。
例えば米ドル/円を1万通貨の買いの注文を入れて、その注文が約定すれば「米ドル/円を買いで1万通貨のポジションを持っている」こととなります。
約定は注文が成立したことを言います。
もちろん注文を出しても約定しなかった場合には、売買が成立してないのでポジションは持ってない状態となります。
また、FXでは「買った通貨は売る」「売った通貨は買い戻す」のが取引の基本となるので、ポジションを持ってる状態で、その後為替レートが変動すれば含み益や含み損となりますが損益は確定していない状況となります。
買いポジションと売りポジションとは?
FXでは外貨を買ったり売ったりすることができますが、外貨を買ったときは「ロング」、売ったときは「ショート」と呼ばれます。
例えば米ドル円を買った場合には、「米ドルのロングポジションを持っている」こととなり、売った場合には「米ドルのショートポジションを持っている」ということとなります。
また、ロングポジションやショートポジションは下記のような呼ばれ方をする場合もあります。
ロングポジション | ショートポジション |
買い建て(かいだて) | 売り建て(うりだて) |
買い玉(かいぎょく) | 売り玉(うりぎょく) |
買い持ち | 売り持ち |
ロングポジションとショートポジションの数量が同じ状態のことは「スクエア(スクウェア)」と呼ばれ、ポジションを持っていない状態(ノーポジション)の時も同様に「スクエア(スクウェア)」と呼ばれています。
ポジションは持ち続けることは可能?
FXで持っているポジションは、株式の信用取引(一部無期限もありますが)や商品先物と違い保有期間に期限はなく持ち続けることができます。
FXは外国為替取引のスポット(直物)取引で原則決済日は2営業日後となっていますが、決済日を先送りする「ロールオーバー」が自動で行われるので決済しない限りポジションを持ち続けることができます。
ロールオーバーが行われると、持ってる通貨ペアの2国間の金利差であるスワップポイントが発生します。
参考 FXのスワップポイントとは?2国間の金利差を低リスクで日々もらうには?
ポジションを持っている間は、プラスのスワップポイントであればスワップポイントを貰い続けることができ、反対にマイナスのスワップポイントであれば支払い続けることとなります。
また、ポジションを持っている間に付与されるスワップポイントに対して課税されるかどうかはFX会社によって異なっています。
貯まったスワップポイントのみでポジションを建てて複利効果を狙うなら課税されないFX会社が有利ですし、スワップポイントのみ引き出し(出金)が可能かもFX会社によって異なっていたりするので、目的に合わせてFX会社を選んでみてください。
参考 スワップポイントが引き出し(出金)できるFX会社を比較!税金ってどうなる?
また、ポジションを保有し続けることができるということは、一時的に含み損となっても含み益となるまで持ち続けることができる反面、為替レートが想定と異なる方向に進み続ければ含み損が拡大し続けるリスクもあります。
そのため、ある一定以上の損失にならないように各FX会社では、ロスカットを行う基準を設けていて、その基準に達すると強制的にロスカットが行われます。
参考 FXの強制ロスカットとは?計算方法や証拠金維持率・レバレッジとの関係は?
ロスカットされてしまうとポジションが強制的に決済されてしまうので、その後相場が反転しても既に決済されてしまっているので損失が確定してしまうので、意図的でない限りはロスカットされないような資金管理が重要となってきます。
決済とは?
ポジションを保有している状態では、損益は確定されていませんが、ポジションを決済すれば利益や損失が確定し、ポジションを決済することを「ポジションクローズ」や「ポジションを手仕舞う」などとも言われています。
「買いポジション」であれば通貨を売ることで、「売りポジション」は通貨を買い戻すことで決済となり、もちろんスワップポイントも発生しなくなります。
米ドル円が100円の時に1万通貨の買いポジションを持っている状態で、101円で決済すれば1万円の利益が確定します。
逆に99円の時に決済すれば1万円の損失が確定します。
決済のタイミングで税金対策?
FXでは1月1日から12月31日までに確定した売買損益やスワップポイントは翌年の確定申告の対象となります。
申告対象となるのは確定した損益となるので、決済をしていないポジションは損益が確定していないので課税対象となりません。(未決済ポジションのスワップポイントが課税対象となるか、ならないかはFX会社によって異なっています)
今年は利益が多く出てるので来年に一部回したい場合には、ポジションの決済を翌年以降にすることにより、税金を免れることはできませんが課税対象となる利益を先延ばしすることができます。
また、年間のFXの利益が会社員なら20万円を超えた場合、専業主婦やフリーターでも年間で38万円を超えると確定申告を行う必要があります。
そのため、含み益があるポジションを持っていて、決済すると確定申告が必要となる金額を超えてしまうような場合には決済を翌年に先延ばしすれば、今年は確定申告をしなくて済むようなケースも考えられます。
参考 FX会社ごとの未決済ポジションのスワップポイントの取り扱いについては下記を参考にしてみてください。
⇒ FXのスワップポイントとは?2国間の金利差を低リスクで日々もらうには?
他の人のポジションは見ることができる?
トレードしようと思ってる通貨ペアで、買いポジションと売りポジションどちらが多いのか知ることができれば、取引する際の判断材料の一つとなり得ます。
ただ、FXのような為替取引は世界中の様々な取引所等で取引がされていて規模も大きく、全体像を把握することはできないのですが、傾向を見る上では十分に価値がある情報の一つですので、参考にしてみてください。
シカゴIMM通貨先物ポジション
シカゴIMM通貨先物ポジションは、米国のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で取引されている通貨先物のポジションの事を言います。
ヘッジファンドや金融機関などの投機筋の動向を示し、相場の先行きを予測する指標として世界中の投資家が注目していて、買いポジションが過度に大きくなれば相場下落、売りポジションが過度に大きくなれば相場上昇の可能性があると言われています。
投機筋は短期間で利益を狙うため、利益確定や損切りが早いため、買いポジションが大きくなると、いつか売却が必要となり、ちょっとしたきっかけで大量の売却注文が集中する可能性があります。
つまり、買いポジションが大きすぎるほど、大量の売り注文が入るリスクが高まっていると言えます。
もちろん売りのポジションが過度に大きくなっていると言うことは、逆に買いの決済注文が入る可能性があるので相場上昇の可能性があると言うことになります。
また、シカゴIMM通貨先物ポジションは、毎週火曜日に集計され、翌金曜日に公表されます。そのため、リアルタイムな情報ではありませんが、中長期的な相場の大きな流れを把握する指標として役立ちます。
参考 セントラル短資FX「シカゴIMM通貨先物ポジション推移」
FX会社が公開するポジション情報
FX会社によって、通貨ペアごとの買いポジションと売りポジションの比率を公開しているところがあります。
みんなのFX・LIGHT FX
みんなのFX・LIGHT FXでは、売買比率・価格分布が公開されていて、売買比率はリアルタイムに更新されています。
こちらの情報はログイン後でないと参照できないので、口座開設している必要があります。
>> LIGHT FX(公式サイト)
DMM FX
DMM FXでは、注文比率・人数比率を公開されていて、売買比率は5分毎に更新され、更新ボタンを押すと最新の情報に更新されます。
こちらの情報はログイン後でないと参照できないので、口座開設している必要があります。
その他
SBIFXトレードとマネーパートナーズは、更新頻度が営業日毎とはなりますが通貨ペア毎のポジション情報が公開されています。
リアルタイム性は落ちますが、口座開設してなくても参照することができるので参考にしてみてください。
参考 SBIFXトレード「通貨別売買比率」
参考 マネーパートナーズ「売買比率」
まとめ
ポジションは建玉(たてぎょく)とも呼ばれ、外貨の持ち高、つまり自分の保有する外貨の状態のことを言い、外貨を買った場合には「ロングポジションを持っている」こととなり、売った場合には「ショートポジションを持っている」と言われています。
FXで持っているポジションは、保有期間に期限はなく持ち続けることができ、ポジションを持っている間は、プラスのスワップポイントであればスワップポイントをコツコツと貯め続けることができ、反対にマイナスのスワップポイントであれば支払い続けることとなります。
ポジションを持っている間のスワップポイントに対して課税されるかどうかはFX会社によって異なっていて、貯まったスワップポイントでポジションを新規に保有するような複利効果を狙うなら課税されないFX会社が有利ですし、スワップポイントのみ引き出し(出金)が可能かもFX会社によって異なっていたりするので、目的に合わせてFX会社を選んでみてください。
ポジションを持っている状態の時は、損益は確定しておらず決済をすることによって利益や損失が確定します。
また、シカゴIMM通貨先物ポジションのようにヘッジファンドや金融機関などの投機筋の動向を確認できたり、他の人がどのようなポジションを持っているかを公開しているFX会社もあるので、傾向を見る上では十分に価値がある情報の一つですので、参考にしてみてください。
口座開設しログイン後に参照できる情報となりますが、下記のFX会社ならほぼリアルタイムのポジション情報を確認することができます。
もちろんどのFX会社も口座開設・維持費用は無料です。
>> LIGHT FX(公式サイト)
他にもリアルタイム性は落ちますが、口座開設してなくても参照することができるFX会社もあるので参考にしてみてください。
参考 SBIFXトレード「通貨別売買比率」
参考 マネーパートナーズ「売買比率」