トルコリラは南アフリカランドやメキシコペソなどと同様に高金利通貨と言われ、その中でも特に金利が高かったのがトルコリラです。
トルコとはどんな国で、トルコの通貨であるトルコリラにはどんな特徴がある通貨なのか確認してみました。
トルコってどんな国?
トルコの基本情報
国名 | トルコ共和国 |
面積 | 約78万3562km2(日本の2倍強) |
人口 | 約8417万人(世界17位) |
首都 | アンカラ |
GDP | 719.54(10億USドル)(世界19位) |
国債格付け※ | ムーディーズ:B3 S&P:B フィッチ:B |
経済成長率 | 8.95%(2021年) |
政策金利 | 8.5% |
主要産業 | 繊維、食品加工、自動車、電子機器、鉱業、鉄鋼、石油 |
※格付大手3社ともに投資不適格級
人口の推移
1980~2025年の日本とトルコの人口の推移です。(将来の人口はIMFによる推計)
(出典:世界経済のネタ帳)
日本が横ばいから若干右肩下がりになっているのにたいして、トルコは右肩上がりに人口が伸びています。
国連によると2050年には9700万人を超えるとみられているので、その頃には日本と人口が逆転してるかもしれません。
しかも欧州の中でもっとも平均年齢が低い国で、平均年齢は約32歳と若い世代の人口構成となっていて労働力もあり、個人消費も拡大し今後の経済成長が期待できそうな人口分布となっています。
失業率
(出典:世界経済のネタ帳)
1995年あたりにいったん下落傾向にありましたが、その後2013年頃から直近までは上昇傾向となっていてます。
今後は失業率が下がる見込みとなっているので、若い世代が多いトルコでは経済活動が活発になることが期待できそうです。
名目GDP(USドル)の推移
(出典:世界経済のネタ帳)
USドルベースだと2000年頃から約20年で約4倍程度成長しています。
直近ではやや成長は鈍化していますが、今後は国際的な機関(IMF)は再度右肩上がりの成長を予測しています。
トルコリラの特徴とは?
高金利通貨の中でも特に政策金利が高い
トルコの政策金利は8.5%とメキシコに抜かれ、他の国が金利を上げている中で金利を下げてきています。
それでも日本に比べると金利は高く、低金利な日本円を売って、トルコリラのように高い金利の通貨を買うと金利の差額をFXならスワップポイントとして日々受け取ることができます。
参考 FXのスワップポイントとは?2国間の金利差を低リスクで日々もらうには?
ただ、政策金利は高いですが、インフレ率はそれ以上に高い状態が続いています。
少額から投資が始められる
FXでは為替レートをベースに必要な証拠金が算出されるので、為替レートが低ければ低いほど必要となる証拠金が少なく済むので少額から投資ができます。
アメリカドル円などは130円前後で推移していますが、トルコリラ円は7円前後で推移しているので、例えば1,000通貨の取引ではアメリカドル円だと5,200円必要となりますが、トルコリラ円なら300円程度から取引することが可能です。
上記は最低限取引するのに必要な証拠金なので、実際に取引する際にはより証拠金が必要となりますが、それでも数千円程度でも十分投資することは可能です。
慢性的な経常収支の赤字とインフレ
トルコの金利が高い理由は、慢性的な経常収支の赤字とインフレによるものです。
トルコは資源が乏しいため、エネルギーなどを輸入に頼っていて、原材料や中間財を輸入して加工・輸出する構図であるため、貿易収支の改善が進みにくいという状況にあり、経常赤字を埋め合わせるために高金利政策によって海外からの資金を引き付ける必要があります。
また、経済成長による国内消費が伸びていて、インフレを助長する一因になっているため、2006年からインフレターゲット制を導入し、インフレ率5%を目標とし、許容範囲を上下2%としていますが、その許容範囲を大きく超える状態となっています。
インフレ率下落基調にあるものの依然として高い値となっています。
通常インフレ率が高まれば金利を上げる施策を取るのですが、金利を上げるのを嫌うトルコのエルドアン大統領の圧力によりインフレ率が上昇しているにも関わらず利下げを行っています。
トルコ中央銀行では現在の金利を適切との見解を示していますが、震災などの影響もありさらなる利下げというのもあり得るかと思われます。
また、高金利通貨である南アフリカやメキシコと比較してもインフレ率は高い状態にあり、今後下がってくる予想もありますが、通常では行わない施策のため今後どのような動きとなるか不透明な状況です。
(引用元:世界経済のネタ帳)
となりますので、高金利は維持できても、貨幣価値が下落するので通貨安となるリスクがあります。
地政学リスクがある
トルコは情勢が不安定なシリアやイラク、イランといった国と接しており、情勢が悪化した際には巻き込まれるリスクが存在します。
さらに独立を求めるクルド人との国内での紛争が長年続いているリスクもあり、トルコリラを取引する際にはトルコ内部や中東情勢のニュースには注意する必要があります。
政治的リスクがある
トルコではエルドアン大統領が2003年からの長期政権下の中、2017年4月の国民投票で承認された改憲によって強大な権限を手に入れていますが、2018年6月の大統領選で過半数を獲得し再選しました。
この選挙によりトルコは議院内閣制から大統領制に移行し、首相職は廃止され、エルドアン氏は議会の解散権、大統領令の発令、政府高官の任免権など広範な権限を手にすることとなり、さらなる権力拡大に懸念する声も少なくありません。
通常インフレを抑制するために金利を上げる政策をとるのですが、エルドアン大統領はイスラム教が高金利を禁じていることから低金利を推し進めています。
そのためトルコリラの通貨安は止まらず下落し続けています。
ただ、2023年5月に大統領選挙が行われる予定で、過去20年政権を握るエルドアン大統領が再選となるかは微妙な情勢です。
トルコリラに投資するなら?
トルコリラは、高い金利となっていますが通貨安のリスクもあるのが現実です。
投資するとしたら、今後も一段の通貨安がありうる前提で高金利を享受するためには、レバレッジを抑えてドルコスト平均法で積み立てながらスワップポイント狙いの投資が考えられます。
また、期待利回りは落ちますが、為替レートの変動リスクなくスワップポイントの一部を得られるスワップポイントのサヤ取り(アービトラージ)という方法もあります。
トルコリラ円の過去10年間のチャート
過去10年間はほぼ右肩下がりとなっていて、下落幅は小さくなってきてはいるもののまだ下落が止まりそうにはなさそうです。
下記は過去1年の日足のチャートですが、緩やかながらも下落基調が続いています。
トルコリラ円でスワップポイントはいくらもらえる?
為替レートが長期的には右肩下がりの傾向があるトルコリラ円は、国内外の状況によっては史上最安値をいつ更新してもおかしくはありません。
そのため、ドルコスト平均法で時間分散させることによって、通貨安のリスクを軽減させることができますし、レバレッジを抑えて投資すれば通貨安となってもロスカットまで余裕を持つことができます。
参考 FXの強制ロスカットとは?計算方法や証拠金維持率・レバレッジとの関係は?
参考 FXのレバレッジとは?レバレッジ1倍でも借金することはある?
例えば、トルコリラ円6.9円、初期投資資金6.9万円、スワップ金利1日38円とすると下記のような感じになります。
取引数量 | 必要証拠金 (4%) | 年間スワップ | 年間利回り | ロスカット (証拠金維持率100%) |
1万(レバレッジ1倍) | 2,760円 | 13,870円 | 20.10% | 0.3円 |
2万(レバレッジ2倍) | 5,520円 | 27,740円 | 40.20% | 3.7円 |
3万(レバレッジ3倍) | 8,280円 | 41,610円 | 60.30% | 4.9円 |
5万(レバレッジ5倍) | 13,800円 | 69,350円 | 100.51% | 5.8円 |
10万(レバレッジ10倍) | 27,600円 | 138,700円 | 201.01% | 6.5円 |
※スワップポイントは2023年4月調査時点で最高水準のスワップポイントとなっているくりっく365の値を参考に算出
政策金利が高い通貨ということでレバレッジ1倍でも約20.1%と高い利回りで(ただし為替レートの変動リスクはあります)、強制ロスカットとなる為替レートは0.3円とかなり余裕がある状況となっています。
レバレッジ2倍でも約40.2%とかなり高い利回りで、強制ロスカットまでの値幅もありますが、トルコリラ円は急激に下落することがあるので強制ロスカットされてしまう可能性は0ではないと思っていたほうがいいと思います。
レバレッジ1~2倍程度の低レバレッジで運用しスワップポイントを貯めればロスカットとなる値をより下げることもできますし、ポジション未決済でスワップポイントの引き出し(出金)ができるFX会社なら生活費の一部に充てることもできます。
ただ、トルコリラは何が起きるかわかりませんので、もしかしたらレバレッジ1倍の強制ロスカット値である0.3円さえも割れてくるような下落も将来はあり得ないとまでは言えないので、あくまでサテライト的に余裕資金でやることや、他の通貨と分散させるなどリスク低減させておくことが必要です。
まとめ
トルコリラへの投資はまだまだ経常収支の赤字やインフレ、地政学リスクなどリスクが高い通貨ですが、若い労働力があり今後も人口の増加が見込めるなど潜在的に経済成長する力を持っている国です。
ただ、トルコは為替レートが急落するようなことも起きるし、今後も先行き不透明感がぬぐえず、インフレ率が上昇しているにもかかわらず、金利は据え置きするなど通常とは異なる政策をとっているので、スワップポイントが蓄積されるより速いスピードで為替レートが下落する恐れがあるといった大きなリスクがあります。
高い金利となってはいますが集中投資は避け、もし投資するとしても資金管理を怠らず慎重に行うべきです。
また、期待利回りは落ちますが、為替レートの変動リスクなくスワップポイントの一部を得られるスワップポイントのサヤ取り(アービトラージ)でもトルコリラ円は比較的有利な条件となっているので、こちらも検討してみてください。
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コメント
akkuns様
コメントありがとうございます。
FXでポジションを保有し続けるためには必要証拠金が必要となるので、預けている資産が必要証拠金を維持できないほどの含み損となるとロスカットされます。
例えば預けている資産が100万円で米ドル円100万円分を買ったらレバレッジ1倍となりますが、米ドル円100万円の通貨ペアを保有し続けるためには必要証拠金が必要となります。
必要証拠金を例えば4万円とすると、米ドル円が下がり続けて96万円の含み損となってしまうと、(ロスカットレベルが100%の場合)ロスカットされてしまいます。
ただ、レバレッジ1倍でロスカットされるというのはちょっと考えにくいレベルまで為替レートが動いたときなので、レバレッジ1倍でもロスカットされる可能性はあるが実際にはほとんどないと思っています。
はじめまして。
トルコリラは、レバレッジ1倍でもロスカットはあるのですね?
1倍であれば、デフォルトやFX会社の取引停止にならない限り大丈夫かと思っていました。
ありがとうございます!
気を付けて運用したいと思います
novorg様
コメントありがとうございます。
トルコリラのスワップポイントの今後の見通しですが、スワップポイントは通貨ペアの政策金利差が1つの目安となります。
トルコの今後10年間の政策金利の推移について予測するのは難しいですが、高い政策金利の要因の一つにインフレがあります。
IMFの予測では来年以降徐々にインフレが落ち着いてくるといった見通しがあるので(それでも高い水準ではありますが)、それを信じれば徐々に政策金利が下がってくる可能性はあり得ます。
これはあくまで1つの要因なのでこれだけで判断するのは早計ではありますが・・。
過去の政策金利では2013年に4.5%まで下がっているので、ここら辺くらいまでは下がってもおかしくはないので、ざっくり今のスワップポイントを1日100円とすれば56円くらいまでは下がる可能性はあり得ます。
また、為替レートが下がれば絶対的なスワップポイントも下がるので、過去10年のレンジで見ればトルコラ円であれば100円近い時があり現在30円と約1/3となっています。今から10年後に同じペースで下げ10円まで下げればスワップポイントも33円くらいまで下がることになります。
トルコのような新興国はインフレだけでなく様々な要因で政策金利や為替レートが大きく変動することになるので、そのようなリスクを想定した資金管理が重要となりますので気を付けてください。
参考になります!
最近の暴落で安値が帰る機会があったので
リラを始めたのですが
相場がどうなる と言う情報は沢山あるのですが
スワップがこの先どうなるのか
もっと言えば最低ラインでいくらくらい期待できるのか
書いてあるページはなかなか見当たりません
あなたはどのようにお考えですか
スワップが25円とかに10年以内になるようなら余り魅力がないのです