FXでは、2カ国間の金利差の差額であるスワップポイントを受け取ることができるので、低金利の日本円を売って外貨を買うことによって利益を上げる運用方法がありますが、どの通貨ペアがおすすめでしょうか?
過去からの為替レートの変動率や実際のスワップポイントがどのくらいもらえるのかなどからおすすめの通貨ペアを考察してみます。
FXのスワップポイントとは?
スワップポイントとは2カ国の金利差から生じる損益のことを言います。
参考 FXのスワップポイントとは?カ2国間の金利差を低リスクで日々もらうには?
- スワップポイントは2カ国間の金利差調整分
- プラスだけでなくマイナスの場合もある
- ポジションを翌日に持ち越すとスワップポイントは発生する
スワップポイントは2カ国間の金利差調整分
FXでは例えば「米ドル/円」のように米ドルと日本円の2カ国の通貨をペアとして売買しますが、2カ国の金利差によって生じる損益のことをスワップポイントと呼びます。
スワップポイントは各国の政策金利と連動する傾向にあり、金利が高い国の政策金利が上がれば(逆に金利が低い国の金利が下がれば)金利差が広がりスワップポイントがより多くもらえます。
プラスだけでなくマイナスの場合もある
スワップポイントはプラスだけでなくマイナスの場合もあり、例えば金利が高い米国と金利が低い日本の通貨ペアである「米ドル円の買い」ならスワップポイントはプラスとなりますが、「米ドル円の売り」だとスワップポイントはマイナスとなります。
プラスの場合は、ポジションを保有している間はスワップポイントを日々貰い続けることができますが、マイナスの場合は逆に日々支払い続けることになります。
また、スワップポイントはFX業者によっても日々異なり、長期で保有していればプラスのスワップポイントがマイナスになるような局面もあり得るので、政策金利の動向については注意が必要です。
ポジションを翌日に持ち越すとスワップポイントは発生する
スワップポイントが発生するタイミングは、ポジションを翌日(日本時間の朝6時~7時くらい)に持つ越すことで発生します。
スワップポイントは基本的には毎日発生するのですが、土日など付与されない日がありますが、水曜日や木曜日にまとめて付与されます。
FXで人気の通貨ペアはどれ?
国内唯一の公的な取引所FXであるくりっく365によると、下記のような通貨ペアが取引量が多く人気があります。
参考 くりっく365のメリット・デメリットとは?店頭FXとの違いは?
順位 | 通貨ペア | 月間取引数量 |
1位 | 米ドル/円 | 595,785 |
2位 | メキシコペソ/円 | 405,594 |
3位 | トルコリラ/円 | 202,580 |
4位 | 南アランド/円 | 188,554 |
5位 | 豪ドル/円 | 136,003 |
6位 | NZドル/円 | 88,551 |
7位 | 英ポンド/円 | 77,292 |
8位 | ユーロ/円 | 68,946 |
9位 | スイスフラン/円 | 45,308 |
10位 | 加ドル/円 | 20,724 |
※東京金融取引所「くりっく365出来高推移(2024年3月)」
この中で低金利の日本円を売る通貨ペアで、FXのスワップポイントを左右する大きな要因の一つである政策金利を高い順に並べると下記の様になっています。
国名 | 政策金利 |
トルコ | 50% |
メキシコ | 10.75% |
南アフリカ | 8.25% |
ニュージーランド | 5.5% |
アメリカ | 5.5% |
イギリス | 5% |
カナダ | 4.5% |
オーストラリア | 4.35% |
ユーロ | 4.25% |
日本 | 0.25% |
※2024年8月時点
政策金利が高いのは高金利通貨と言われる「トルコリラ」「メキシコペソ」「南アフリカランド」で、次に「米ドル」「ニュージーランドドル」「英ポンド」「カナダドル」となっています。
スワップポイントで稼ぐには金利の低い通貨を売って、金利の高い通貨を買う必要があるので、ここでは国内で人気が高く、比較的わかりやすい低金利の日本円を売り、政策金利の高い通貨である下記の通貨ペアを対象に比較してみました。
- トルコリラ円
- メキシコペソ円
- 南アフリカランド円
- 米ドル円
- オーストラリア(豪)ドル円
- ニュージーランド(NZ)ドル
各国の政策金利の推移を比較
先進国の政策金利推移
先進国である日本、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの政策金利は2015年1月からの推移は下記のようになっています。
過去オーストラリアやニュージーランドは高い政策金利で人気がありましたが、2016年頃からはアメリカが政策金利を上げ始め先進国では高い政策金利となっていました。
最近はコロナウィルスの影響による経済後退懸念により、各国政策金利を引き下げましたが、その後インフレ懸念のため日本以外は各国政策金利を引き上げています。
そのため、日本と日本以外の国との金利差が広がったままの状態が続いているので、日本円が絡む通貨ペアではより多くのスワップポイントが貰える状態となっています。
高金利通貨の政策金利の推移
高金利通貨と言われるトルコ、南アフリカ、メキシコのの政策金利は2015年1月からの推移は下記のようになっています。(参考までに日本も追加)
慢性的なインフレ状態であるトルコの政策金利は高く、特に2023年以降飛び抜けて高い政策金利となっています。
2022年以降はアメリカなど先進国も金利を引き上げたので差は縮まりましたが、それでも南アフリカやメキシコの方が金利は高くなっています。
信用格付けの比較
各国の政府又は政府関係機関の発行する債券(国債など)の信用度の尺度となる主要格付け会社三社(ムーディーズ、S&P、フィッチ)による信用格付けは下記の様になっています。
※2023年10月時点
「オーストラリア」が三社すべて最高格付けとなっていて、次いで「カナダ」「米国」「ニュージーランド」の格付けが高く信用度が高いと言えます。
高金利通貨である「メキシコ」も三社すべて投資適格級と信用度は高く、「南アフリカ」や「トルコ」は三社すべてで投資不適格級となっていて信用度は低い状態となっています。
為替レートおよび投資金額を比較
各通貨ペアの為替レートと1,000通貨をレバレッジ1倍で投資する場合の投資金額は下記の様になります。
参考 FXのレバレッジとは?レバレッジ1倍でも借金することはある?
トルコリラ円 | 南アフリカ ランド円 | メキシコペソ円 | 米ドル円 | 豪ドル円 | NZドル円 | |
為替レート | 4.744 | 8.096 | 9.03 | 154.562 | 99.225 | 91.04 |
投資金額 | 5千円 | 8千円 | 9千円 | 15万円 | 9.9万円 | 9.1万円 |
※為替レートは2024年4月時点
「米ドル円」「豪ドル円」「NZドル円」は為替レートが高いので投資金額は高めとなっています。
対して「トルコリラ円」「南アフリカランド円」「メキシコペソ円」では為替レートが低いので投資金額が少なく済むというメリットがあります。
また、松井証券のFXならどの通貨ペアでも1通貨から取引ができるので、例えば米ドル円ならレバレッジ1倍でも約150円から投資が可能なのでどんな通貨ペアでも少額から投資が可能です。
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スワップポイントの期待利回りを比較
各通貨ペアの調査時点で最高値のスワップポイントの場合で、レバレッジ1倍で上記の為替レートで変動がないとすると下記のような利回りとなります。
トルコリラ円 | 南アフリカ ランド円 | メキシコペソ円 | 米ドル円 | 豪ドル円 | NZドル円 | |
期待利回り | 18.85% | 4.08% | 5.48% | 3.07% | 2.57% | 2.71% |
※調査時点(2024年4月)の各通貨ペアのスワップポイントの最高値
トルコリラ円:270円(GMOクリック証券【FXネオ】)
南アフリカランド円:18.1円(GMOクリック証券【FXネオ】、LIGHT FX(LIGHTペア))
メキシコペソ円:27円(GMOクリック証券【FXネオ】、JFX株式会社)
米ドル円:260円(GMO外貨(外貨ex)、外為どっとコム)
豪ドル円:140円(みんなのFX、LIGHT FX)
NZドル円:135円(GMO外貨(外貨ex))
高金利通貨の「トルコリラ円」「南アフリカランド円」「メキシコペソ円」の利回りはやや高いものの、「米ドル円」などの先進国通貨も高い利回りとなっています。
過去10年前からの為替レートの変動率を比較
約10年前(2014年4月)を基準にしたときに各通貨ペアの為替レートがどのように変動しているかのチャートが下記となります。
米ドル円・豪ドル円・NZドル円
※赤が米ドル円、青が豪ドル円、緑がNZドル円
約10年前からの変動率では、「米ドル円」は50%と大きく円安方向に変動していて、「豪ドル円」「NZドル円」もプラス推移しています。
そのため、約10年前に保有していればスワップポイントは丸まる利益となり為替差益もプラスという状態となっています。
トルコリラ円・南アフリカランド円・メキシコペソ円
※黒が米ドル円、赤がトルコリラ円、青がメキシコペソ円、緑が南アフリカランド円
高金利通貨は「メキシコペソ円」のみプラスとなっていますが、「南アフリカランド円」「トルコリラ円」はマイナスとなっていて、特に「トルコリラ円」は約ー90%と大きく下落していることがわかります。
直近3年をみるとトルコリラ円のみ大きく下落していますが、メキシコペソ円は米ドル円よりも上昇しています。
過去10年でも一時マイナスとはなっていたものの結局プラスとなっていてスワップポイント狙いなら注目の通貨ペアです。
※黒が米ドル円、赤がトルコリラ円、青がメキシコペソ円、緑が南アフリカランド円
経済指標の比較
2008年から2023年までの経済指標の推移は下記となります。(将来の経済成長率はIMF(国際通貨基金)による予測)
経済成長率
【日本・アメリカ・オーストラリア・ニュージーランド】
(引用元:世界経済のネタ帳)
日本だけ経済成長率の伸びが悪く、他の国は比較的安定的に経済成長率が伸びることが予想されています。
【トルコ・南アフリカ・メキシコ】
(引用元:世界経済のネタ帳)
高金利通貨国ではトルコが最も高い経済成長率が予想されていて、南アフリカやメキシコも安定して経済成長が予想されています。
インフレ率
一般的にインフレ率が高いと、物価が上昇することになるため貨幣価値の下落につながると言われていて、高いインフレ率の通貨と日本のような低インフレ通貨の通貨ペアでは、為替レートが下落する可能性が高いといったリスクがあります。
【日本・アメリカ・オーストラリア・ニュージーランド】
(引用元:世界経済のネタ帳)
各国インフレ率が一時的に上昇していますが、今後は落ち着きを取り戻し日本、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドともに約2%前後程度のインフレ率が予想されていて比較的安定的に推移しそうです。
【トルコ・南アフリカ・メキシコ】
(引用元:世界経済のネタ帳)
トルコのインフレ率のみ跳ね上がっていて、今後は下落傾向が予想されていますが、それでも他国と比べると高い値となっています。
インフレ率がより下落しないかぎりさらなる貨幣価値の下落につながりかねません。
まとめ
各通貨ペアの比較をまとめると下記の様になります。
トルコリラ円 | 南アフリカランド円 | メキシコペソ円 | 米ドル円 | 豪ドル円 | NZドル円 | |
政策金利 | 50% | 8.25% | 11% | 5.5% | 4.35% | 5.5% |
信用格付け※1 | B3 B B+ | Ba2 BBー BBー | Baa2 BBB BBBー | Aaa AA+ AA+ | Aaa AAA AAA | Aaa AA+ AA+ |
為替レート | 4.744円 | 8.096円 | 9.03円 | 154.562円 | 99.225円 | 91.04円 |
投資金額※2 | 5千円 | 8千円 | 9千円 | 15万円 | 9.9万円 | 9.1万円 |
スワップポイント による期待利回り | 18.85% | 4.08% | 5.48% | 3.07% | 2.57% | 2.71% |
過去10年前からの レート変動率 | ー89.96% | ー13.36% | +18.01% | +54.85% | +8.94% | +6.75% |
※1:上段ムーディーズ、中段S&P、下段フィッチ
※2:1,000通貨でレバレッジ1倍の場合
先進国通貨ペアで安全に行くならどの通貨ペア?
先進国通貨の通貨ペアである「米ドル円」「豪ドル円」「NZドル円」の中で、過去10年前からの変動率が高く、スワップポイントによる期待利回りが高い「米ドル円」がおすすめです。
参考 米ドル円のスワップポイント比較ランキング!スプレッドも比較!
「豪ドル円」「NZドル円」は過去10年前からの為替レートの変動率だと「豪ドル円」の方が為替レートの上昇率は高いです。
参考 豪ドル円のスワップポイント比較ランキング!スプレッドも比較!
参考 NZドル円のスワップポイントとスプレッドの比較ランキング!おすすめのFX会社は?
高金利通貨で高いスワップポイントを狙うのにおすすめの通貨ペアは?
スワップ金利が最も高いのは「トルコリラ円」ですが、過去10年前からの為替レートの変動率が大きく、インフレ率が高止まりしていて為替レートはいつ過去最安値を更新してもおかしくない状況です。
将来の経済成長率は高い予想となっているので、将来性はあるもののインフレ率が改善されそうなきっかけとなる材料がでるなど為替レートの下げ止まりが見えてから投資したいところです。
高金利通貨の中では「メキシコペソ円」は高金利通貨では信用格付けが高く、少額から投資できるのがメリットです。
また、過去の10年前からの変動率もプラスだったのでスワップポイントと為替変動による利益の両方を得られる期待が持て投資妙味があるかと思います。
参考 メキシコペソ円のスワップポイント比較ランキング!スプレッドも比較!
また、貰えるスワップポイントは小さくなりますが、スワップポイントのサヤ取り(アービトラージ)なら、為替変動リスクを大幅に軽減しながらスワップポイントをもらい続けることもできます。
参考 FXでスワップポイントサヤ取り(アービトラージ)の方法って?低リスクだけどデメリットは?
スワップポイントで稼ぐのにおすすめのFX会社は?
先進国通貨や高金利通貨のスワップポイントが高いLIGHT FXのLIGHTペア
LIGHT FXは先進国通貨や高金利通貨のスワップポイントが高水準ですが、さらにスプレッドも狭く、スワップポイントも業界でも最高水準のLIGHTペアを取り扱っています。
LIGHTペアは「1取引の最大発注数量(20万通貨)」および「売建玉・買建玉それぞれの建玉数量上限(300万通貨)」に制限がありますが、通常の通貨ペアと変わらず取引できます。
スワップポイントを狙うなら抑えておきたいFX会社です。
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高金利通貨のスワップポイントが高いGMOクリック証券
GMOクリック証券はメキシコペソ円だけでなく高金利通貨全般的に高いスワップポイントとなっています。ポジションを保有したままスワップポイントの引き出し(出金)が可能なのでスワップポイントを生活費の一部にあてたい方に向いています。
>> GMOクリック証券【FXネオ】(公式サイト)[詳細解説]
メキシコペソ円のスワップポイントが高いJFX
JFXのメキシコペソ円は、スワップポイントが高いだけでなくスプレッドも狭く好条件で取引できます。
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