くりっく365は、東京金融取引所が運営する取引所による外国為替証拠金取引(FX)の愛称で、店頭FX同様に外国為替証拠金取引(FX)を行うことができます。
くりっく365にはどんなメリットやデメリットがあり、店頭FXとはどのような違いがあるのか確認してみました。
くりっく365とは?
FX取引には大きく分けて店頭FXと取引所FXの2種類が存在し、くりっく365は、東京金融取引所が運営する公的な国内唯一の取引所FXです。
東京金融取引所では日経平均やNYダウ平均などの株価指数を取引できる取引所CFDであるくりっく株365も運営しています。
参考 くりっく株365(取引所CFD)と店頭CFDの比較!取引するならどっち?
取引所といえば株式の売買が行われている東京証券取引所などが有名で、主に証券会社を通して株式の売買を行いますが、くりっく365も同様に下記の取扱業者を通じてFX取引を行うこととなります。
厳格な資格要件を満たした取扱業者を選定
くりっく365を取り扱うには、法令等による業者登録基準に加え、下記の様に独自の厳しい資格要件を設け、信頼度の高い取引参加者で取引ができるようになっています。
取扱業者資格要件(一例) | 金融商品取引業者要件(一例) | |
資本金 | 3億円以上 | 5,000万円 |
純資産 | 20億円以上 | ー |
自己資本規制比率 | 200%以上 | 120% |
さらに東京金融取引所の自主規制部門が取扱業者をモニタリングし、法令や東京金融取引所の規則に反した取扱業者に対して、自主規制委員会の決議に基づき処分等の措置をとることができます。
くりっく365の口座数は国内No1
くりっく365の口座数は約120万口座、証拠金預託額は約4,800億円の規模となっています。
店頭FX会社で国内大手のGMOクリック証券でも約83万口座なので、くりっく365の方が口座数は多く右肩上がりに伸びていて、多くの方がくりっく365を選んでいます。
参考 GMOクリック証券(FXネオ)の評価・評判って?手数料やスワップポイントってどう?
より狭いスプレッドのくりっく365ラージ
くりっく365にはよりスプレッドが狭いくりっく365ラージもあり下記のような違いがあります。
くりっく365ラージでは、手数料も必要となり通貨ペア数も少なくメリットがあまりないように思えます。
取り扱い通貨ペア数がより多く、スプレッドもより狭い条件をなら店頭FXを利用した方がよさそうです。
くりっく365のメリットとは?
マーケットメーク方式による透明な取引価格
くりっく365では世界有数の複数の金融機関がマーケットメーカーとして提示される価格の中から、その時点における最良の「売り気配」と「買い気配」を提供しています。
くりっく365はFX取引の場を提供していて、マーケットメイカーの提示した価格を取引所のシステムで自動的に合成して、最良の価格がそのまま提示されているだけと透明な取引価格となっています。
約定拒否およびスリッページはない
マーケットメーカーが提供する数量の範囲内であれば、注文は即座に約定する仕組みとなっているので注文の約定拒否がなく、意図的なスリッページの心配がありません。
※相場急変時には、取引数量が少なくなりスプレッド幅が広がったり、買気配または売気配が提示されずに取引ができないといった不測の事態が発生する可能性はあります
参考 FXの約定力が高くスリッページが発生しにくいFX会社はどこ?
高金利通貨のスワップポイント、スプレッドは好条件
くりっく365では通常の店頭FX同様に外貨預金の金利に相当するスワップポイントを得ることができますが、全体的にどの通貨ペアでも店頭FXと比較しても高水準となっています。
参考 FXのスワップポイントとは?2カ国間の金利差を低リスクで日々もらうには?
特に高金利通貨であるトルコリラ円や南アフリカランド円、メキシコペソ円のスワップポイントやスプレッドは店頭FXと比較しても好条件となっています。
くりっく365 | 店頭FX ※2 | |||
スワップポイント | スプレッド ※1 | スワップポイント | スプレッド ※2 | |
南アフリカランド円 | 18.5円 | 0.742銭 | 20円 | 0.9銭 |
トルコリラ円 | 42.3円 | 3.321銭 | 43.9円 | 1.7銭 |
メキシコペソ円 | 25円 | 0.667銭 | 28.2円 | 0.2銭 |
※:スワップポイントは2024年7月の平均値
※1:2024年7月の実績平均値
※2:店頭FXはスワップポイントが業界最高水準のGMOクリック証券の値。GMOクリック証券のスプレッドは午前9時~翌午前3:00まで原則固定スプレッド(例外あり)
また、くりっく365では高金利通貨の取引数量は多く人気となっています。
順位 | 通貨ペア | 月間取引数量 |
1位 | 米ドル/円 | 728,716 |
2位 | メキシコペソ/円 | 525,964 |
3位 | トルコリラ/円 | 253,121 |
4位 | 南アランド/円 | 210,560 |
5位 | 豪ドル/円 | 174,630 |
6位 | 英ポンド/円 | 106,850 |
7位 | ユーロ/円 | 78,135 |
8位 | 加ドル/円 | 60,416 |
9位 | NZドル/円 | 59,632 |
10位 | スイスフラン/円 | 55,034 |
※2024年5月の取引数量より
高金利通貨だけでなく取引量が多い米ドル円のスワップポイントも、店頭FXと比較しても高い水準となっています。
参考 米ドル円のスワップポイント比較ランキング!スプレッドも比較!
またポジションを持ったままでスワップポイントのみの出金は出来ませんが、ポジションを決済した時に課税対象となるので未決済ポジションの場合は課税はされません。
参考 FXのスワップポイントとは?2国間の金利差を低リスクで日々もらうには?
スワップポイントは一本値
スワップポイントは店頭FXの多くの会社で、投資家に支払うスワップポイントを少なく、投資家から受取るスワップポイントを多く設定し、その差額がFX会社の利益となっています。
くりっく365では、受取額と支払額を同一としていて取引所も取扱業者もスワップポイントから利益を得ておらず透明な取引となっています。
証拠金は東京金融取引所が全額保管し分別管理
くりっく365の取扱業者は、投資家から預かった証拠金の全額を、法令により東京金融取引所に預託することが義務付けられています。
東京金融取引所では、預かった証拠金の全額を取引所の財産と区別し保管しているので、万一取扱業者が破たんするようなことがあっても原則として全額保全される仕組みになっています。
※くりっく株365は投資者保護基金の対象となっていますが、くりっく365では対象外です
くりっく365のデメリットとは?
最低取引数量は1万通貨から
店頭FXではSBIFXトレードの様に1通貨から取引できるところもありますが、1,000通貨から取引できるFX会社が多い中、くりっく365では1万通貨から(一部の通貨ペアでは10万通貨から)となっているので低額から投資したい方は店頭FXの方がハードルが低いです。
店頭FXなら例えば松井証券FXなら1通貨から取引ができるので少額から取引することができます。また、FXで人気の高いリピート系自動売買も1通貨からと少額から取引できます。
>> 松井証券のFX(公式サイト)
取引手数料が必要となるFX会社もある
取引手数料は「くりっく365」は多くの取扱業者で無料、「くりっく365ラージ」は有料となっています。
参考 くりっく365を比較(手数料・ロスカットなど)!おすすめの取扱業者は?
店頭FXでは基本的には取引手数料は無料なので、コストがかかる取扱業者もありますが、取引手数料を店頭FX同様に無料としている取扱業者も多く、そのような取扱業者で取引するのがおすすめです。
参考 くりっく365でEXCELを利用してシステムトレードも可能なのが岡三オンラインです。オリジナルの投資レポートも参照できます。
>> 岡三オンライン【くりっく365】(公式サイト)
参考 店頭FXで国内大手のGMOクリック証券は、くりっく365も取り扱っていて店頭FXとくりっく365で損益通算が可能です!
>> GMOクリック証券(公式サイト)
スプレッドは通貨ペアによっては広め
「くりっく365」ではメジャー通貨の通貨ペアは広めとなっていて、下記は「くりっく365ラージ」の実績と店頭FXで同じ最低取引数量が1万通貨からでスプレッドが狭いDMM FXとの比較となります。(くりっく365ではスプレッドはより広くなります)
通貨ペア | くりっく365ラージ | DMM FX |
米ドル/円 | 1.748銭 | 0.2銭 |
ユーロ/円 | 2.554銭 | 0.4銭 |
ポンド/円 | 3.294銭 | 0.9銭 |
豪ドル/円 | 1.984銭 | 0.5銭 |
ユーロ/米ドル | 1.282pips | 0.3pips |
※くりっく365ラージは2024年7月のスプレッド実績値
※DMM FXのスプレッドは9:00~翌午前5時まで原則固定(例外あり)
「くりっく365」より狭いスプレッドの「くりっく365ラージ」でも店頭FXのスプレッドよりは広くなっているので、何度も取引するような場合にはコストがかさむため不利となります。
ただ、南アフリカランド円やトルコリラ円、メキシコペソ円といった高金利通貨については店頭FXとそん色ないスプレッドとなっています。
店頭FXとの違いは?
FX取引には取引所FXである「くりっく365」と「店頭FX」の2種類があり違いは下記となっています。
また、「くりっく365」と「店頭FX」(GMOクリック証券)で主な項目について比較すると下記の様になります。
くりっく365 | 店頭FX | |
取引手数料 | 無料 (取扱業者により異なる) | 無料 (多くのFX会社が無料) |
スプレッド | マーケットメイク方式により、 公正かつ健全で有利な価格提供 | 原則固定(※例外あり) 米ドル/円 0.2銭、ユーロ/円 0.4銭 |
通貨ペア | 25通貨ペア | 20通貨ペア |
レバレッジ | 25倍 | |
課税方式 | 申告分離課税(一律20%) |
過去「くりっく365」には税制上のメリットがあったのですが、2012年の税制改正により店頭FXも申告分離課税となったため「くりっく365」での税制メリットはなくなっています。
通貨ペアは「くりっく365」では「ノルウェークローネ/円」「スウェーデンクローネ/円」「ポーランドズロチ/円」といったマイナーな通貨も取引ができますが、店頭FXでもヒロセ通商のように約50通貨ペア取引ができるところもあるので、それほど大きなメリットとはなっていません。
参考 ヒロセ通商(LION FX)の評価・評判は?スワップポイントやスプレッドはどう?
まとめ
くりっく365は、東京金融取引所が運営する公的な国内唯一の取引所FXです。
「安心・透明・信頼」のくりっく365のメリット・デメリットとして下記の点が挙げられます。
メリット
- マーケットメーク方式による透明な取引価格
- 約定拒否およびスリッページはない
- 高金利通貨のスワップポイント、スプレッドは好条件
- スワップポイントは一本値
- 証拠金は東京金融取引所が全額保管し分別管理
デメリット
- 最低取引数量は1万通貨から
- 取引手数料が必要となるFX会社もある
- スプレッドは通貨ペアによっては広め
実際に「くりっく365」のセミナー参加者に聞いた「くりっく365」を選ぶ理由として下記のような項目が挙げられています。
順位 | 項目 | 支持率 | アンケート回答内容 |
1位 | 証拠金保全 | 70% | 公的な取引所FXなので、証拠金が原則全額保全される |
2位 | 約定拒否及び スリッページなし | 50% | 約定拒否の心配がない 不自然スリッページがない |
3位 | スワップポイント が魅力的 | 47% | 店頭FXよりスワップポイントが大きい スワップポイントが一本値 |
4位 | MM方式 | 41% | 有力なマーケットメイカーが価格提供を行っていて安心 |
以前くりっく365と店頭FXを扱っている岡三オンラインさんでお話を伺ったときも、くりっく365は、短期的な売買をされる方もいるが、スイングから長期取引がメインとなっていてじっくり取引をされている方が多くメジャー通貨の取引は店頭FX、高金利通貨の取引はくりっく365といったように使い分けをしている方もいるようなので、うまく使い分けたいところです。
高金利通貨のスワップポイント狙いの投資ならくりっく365も検討してみてはいかがでしょうか。
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