トルコリラは高い政策金利を背景に高金利通貨として注目されてますが、為替レートの変動も大きく投資するには躊躇してしまいますよね。
そんな中でもトルコリラに多くの方が投資をしているのはリスクよりもリターンが大きいと考えられるからですが、本当に投資しても大丈夫でしょうか?
ここではトルコの基本情報を確認し、投資すべきか確認してみましょう。
参考 トルコリラは値動きも荒くリスクも高い通貨ですので、FX初心者の方はこちらを参考にしてください。
目次
トルコってどんな国?
トルコに投資をするならまずは投資対象となるトルコという国の情報を確認しましょう。
基本情報
国名 | トルコ共和国 |
面積 | 約78万3562km2(日本の2倍強) |
人口 | 約7774万人(世界19位) |
首都 | アンカラ |
GDP | 733.64(10億USドル)(世界18位) |
国債格付け※ | ムーディーズ:B2 S&P:B+ フィッチ:BBー |
経済成長率 | 3.48%(2018年) |
政策金利 | 10.25% |
主要産業 | 繊維、食品加工、自動車、電子機器、鉱業、鉄鋼、石油 |
※投資不適格級
人口の推移
1980~2023年の日本とトルコの人口の推移です。(将来の人口はIMFによる推計)
(引用元:世界経済のネタ帳)
日本が横ばいから若干右肩下がりになっているのにたいして、トルコは完全に右肩上がりで伸びています。
国連によると2050年には9700万人を超えるとみられているので、その頃には日本と人口が逆転してるかもしれません。
しかも欧州の中でもっとも平均年齢が低い国であり、7700万人の42%が25歳以下なのでまさに今後伸びていきそうな人口分布となっています。
失業率
(引用元:世界経済のネタ帳)
1995年あたりにいったん下落傾向にありましたが、その後2000年に入ってから上昇傾向となっていて、今後も高い失業率が続くと想定されています。
せっかく若い労働力があるのにもったいないですね。
名目GDP(USドル)の推移
(引用元:世界経済のネタ帳)
USドルベースだとここ数年トルコリラが弱いので若干右肩下がりに見えますが、トルコリラベースだと右肩上がりで伸びています。
またIMF(国際通貨基金)による5年先の見通しは以下のようになってます。
(引用元:世界経済のネタ帳)
国際的な機関では、直近では成長率の鈍化が予想されていますが、その後は大きく成長することを予想していて、若い労働力を豊富に抱えているので、今後人口の増加とともに成長が期待できそうです。
トルコに投資するリスクは?
経常収支の赤字とインフレ
トルコリラの金利が高い理由は、慢性的な経常収支の赤字とインフレによるものです。
トルコは資源が乏しいため、エネルギーなどを輸入に頼っていて、原材料や中間財を輸入して加工・輸出する構図であるため、貿易収支の改善が進みにくいという状況にあり、経常赤字を埋め合わせるために高金利政策によって海外からの資金を引き付ける必要があります。
また、経済成長による国内消費が伸びていて、インフレを助長する一因になっているため、2006年からインフレターゲット制を導入し、インフレ率5%を目標とし、許容範囲を上下2%としていますが、その許容範囲を大きく超える状態で高止まりしています。
一時期下降傾向となっていましたが、再度上昇後は横ばい傾向となっています。
高金利通貨である南アフリカやメキシコと比較してもインフレ率は高い状態にあり、今後下がってくる予想ではありますがまだ不透明な状況となっています。
(引用元:世界経済のネタ帳)
となりますので、高金利は維持できても、貨幣価値が下落するので通貨安となるリスクがあります。
地政学リスク
トルコはシリアやイラクをはじめとする中東諸国と接しており、情勢が悪化した際には巻き込まれるリスクが存在しますし、周辺国の情勢悪化により難民が増加するようなことになると国内の治安も乱れやすくなりトルコ経済に悪影響を及ぼす可能性があります。
トルコの産業の一つである観光にも打撃を与え続けていることは無視できず、さらにコロナウィルスの影響により外国人旅行者の受け入れが停止している点もトルコ経済には悪影響を及ぼしています。
政治的リスク
トルコではエルドアン大統領が2003年からの長期政権下の中、2017年4月の国民投票で承認された改憲によって強大な権限を手に入れていますが、2018年6月の大統領選で過半数を獲得し再選しました。
この選挙によりトルコは議院内閣制から大統領制に移行し、首相職は廃止され、エルドアン氏は議会の解散権、大統領令の発令、政府高官の任免権など広範な権限を手にすることとなり、さらなる権力拡大に懸念する声も少なくありません。
トルコは強権的な姿勢を支持する人と批判する人で、真っ二つに分断されるなど内政は不安定で、EUなどの周辺諸国やロシアやアメリカなどとの関係も、改善したかと思えばまた悪化したりと不安定な状況です。
シリア情勢などいったんは対米関係の緊張が緩和されましたが、今後トルコ含めて各国がどのような動きをするか注意が必要です。
トルコリラに投資するならどんな手法がいい?
トルコリラは、高金利政策を行っているため非常に魅力的な金利となっていますが、通貨安のリスクもあるのが現実です。
投資するとしたら、今後も一段の通貨安がありうる前提で高金利を享受するためには、レバレッジを抑えたスワップポイント狙いの投資が考えられます。
ただ、トルコリラの下落リスクは収まったようには思えないので、期待利回りは落ちますが、為替レートの変動リスクなくスワップポイントの一部を得られるスワップポイントのサヤ取り(アービトラージ)でもトルコリラ円は比較的有利な条件となっているので、こちらも併せてご検討ください。
トルコの政策金利の推移
トルコの政策金利の推移および高金利通貨であるメキシコ、南アフリカの政策金利の推移は下記のようになっています。(2015年1月~2020年9月)
一時期より連続して利下げするなど、懸命の対応を行っていますが、コロナウィルスの影響による経済活動の低下が懸念され、トルコからの資金の引き揚げが止まらず厳しい状況が続いています。
さらに、リラが史上最安値圏内で推移していることもあり、2年ぶりに利上げされましたがそれでもインフレ率を下回っている実質金利がマイナスの状態が続いています。
トルコリラ円の過去10年間のチャート
過去10年間はほぼ右肩下がりとなっていて、2019年に入ってからはやや横ばい傾向となっていましたが、2020年に入り再度下落傾向となっています。
下記は過去1年の日足のチャートですが、コロナウィルスによる影響に伴う世界的な景気後退懸念から大きく下落し、過去最安値を更新した後はやや値を戻しましたたが、戻りは弱く再度下降傾向となり過去最安値を更新しています。
実質金利がマイナスの状態が続いるので、市場では大幅な利上げを期待していますが、政治的な絡みもあり難しい状況となっています。
トルコリラ円のスワップポイント狙いの期待利回りは?
スワップポイント狙いの運用をする上で重要なのは、ロスカットされずに中長期でスワップポイントをもらい続けることです。
そのためにはFXがギャンブルと言われる元凶となっているレバレッジを低く抑えることが重要で、レバレッジ1倍なら外貨預金とリスクが変わらず取引することができます。
ただ、せっかくFXで投資をするならレバレッジをかけて少しでもリターンを得たいところですが、レバレッジをかけた場合どの位のスワップポイントが得られて、ロスカットはどのようになるのかが気になるところです。
例えば、トルコリラ円13.4円、初期投資資金13.4万円、スワップ金利1日53円とすると下記のような感じになります。
※スワップ金利は2021年4月調査時点で最高水準のスワップポイントとなっているくりっく365の値を参考に算出
取引数量 | 必要証拠金 (4%) | 年間スワップ | 年間利回り | ロスカット (証拠金維持率100%) |
1万 (レバレッジ1倍) | 5,360円 | 19,345円 | 14.44% | 0.5円 |
2万 (レバレッジ2倍) | 10,720円 | 38,690円 | 28.87% | 7.2円 |
3万 (レバレッジ3倍) | 16,080円 | 58,035円 | 43.31% | 9.5円 |
5万 (レバレッジ5倍) | 26,800円 | 96,725円 | 72.18% | 11.3円 |
10万 (レバレッジ10倍) | 53,600円 | 193,450円 | 144.37% | 12.6円 |
政策金利が高い通貨ですがレバレッジ1倍だと約6.3%と高い利回りで、ロスカットとなる為替レートは0.5円とかなり余裕がある状況となっています。
レバレッジ2倍だと約12.6%とかなり高い利回りで、ロスカットまでの値幅があるので当面はロスカットの心配はなさそうです。
低レバレッジで運用しスワップポイントを貯めればロスカットとなる値をより下げることもできますし、ポジション未決済でスワップポイントの引き出しができるFX会社なら生活費の一部に充てることもできます。
ただ、トルコリラのような新興国の通貨は何が起きるかわかりませんので、もしかしたらレバレッジ1倍のロスカット値である0.5円さえも割れてくるような下落も将来はあり得ないとまでは言えないので、あくまでサテライト的に余裕資金でやることや、他の通貨と分散させるなどリスク低減させておくことが必要です。
まとめ
トルコリラへの投資はまだまだ経常収支の赤字やインフレ、地政学リスクなどリスクが高い通貨ですが、若い労働力があり今後も人口の増加が見込めるなど潜在的に経済成長する力を持っている国です。
ただ、トルコショックで為替レートが急落したように、今後も先行き不透明感がぬぐえず、コロナウィルスの影響によりトルコ経済の脆弱性が露呈するなど厳しい状況が続いているので、スワップポイントが蓄積されるより速いスピードで為替レートが下落する恐れがあるといった大きなリスクがあります。
非常に高い金利となってはいますが、集中投資を避けるのは当然ですが、もし投資するとしても資金管理を怠らず慎重に行うべきです。
また、期待利回りは落ちますが、為替レートの変動リスクなくスワップポイントの一部を得られるスワップポイントのサヤ取り(アービトラージ)でもトルコリラ円は比較的有利な条件となっているので、こちらも検討してみてください。
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コメント
参考になります!
最近の暴落で安値が帰る機会があったので
リラを始めたのですが
相場がどうなる と言う情報は沢山あるのですが
スワップがこの先どうなるのか
もっと言えば最低ラインでいくらくらい期待できるのか
書いてあるページはなかなか見当たりません
あなたはどのようにお考えですか
スワップが25円とかに10年以内になるようなら余り魅力がないのです
novorg様
コメントありがとうございます。
トルコリラのスワップポイントの今後の見通しですが、スワップポイントは通貨ペアの政策金利差が1つの目安となります。
トルコの今後10年間の政策金利の推移について予測するのは難しいですが、高い政策金利の要因の一つにインフレがあります。
IMFの予測では来年以降徐々にインフレが落ち着いてくるといった見通しがあるので(それでも高い水準ではありますが)、それを信じれば徐々に政策金利が下がってくる可能性はあり得ます。
これはあくまで1つの要因なのでこれだけで判断するのは早計ではありますが・・。
過去の政策金利では2013年に4.5%まで下がっているので、ここら辺くらいまでは下がってもおかしくはないので、ざっくり今のスワップポイントを1日100円とすれば56円くらいまでは下がる可能性はあり得ます。
また、為替レートが下がれば絶対的なスワップポイントも下がるので、過去10年のレンジで見ればトルコラ円であれば100円近い時があり現在30円と約1/3となっています。今から10年後に同じペースで下げ10円まで下げればスワップポイントも33円くらいまで下がることになります。
トルコのような新興国はインフレだけでなく様々な要因で政策金利や為替レートが大きく変動することになるので、そのようなリスクを想定した資金管理が重要となりますので気を付けてください。
ありがとうございます!
気を付けて運用したいと思います
はじめまして。
トルコリラは、レバレッジ1倍でもロスカットはあるのですね?
1倍であれば、デフォルトやFX会社の取引停止にならない限り大丈夫かと思っていました。
akkuns様
コメントありがとうございます。
FXでポジションを保有し続けるためには必要証拠金が必要となるので、預けている資産が必要証拠金を維持できないほどの含み損となるとロスカットされます。
例えば預けている資産が100万円で米ドル円100万円分を買ったらレバレッジ1倍となりますが、米ドル円100万円の通貨ペアを保有し続けるためには必要証拠金が必要となります。
必要証拠金を例えば4万円とすると、米ドル円が下がり続けて96万円の含み損となってしまうと、(ロスカットレベルが100%の場合)ロスカットされてしまいます。
ただ、レバレッジ1倍でロスカットされるというのはちょっと考えにくいレベルまで為替レートが動いたときなので、レバレッジ1倍でもロスカットされる可能性はあるが実際にはほとんどないと思っています。