iシェアーズ S&P500 米国株 ETF(1655)は、米国の株式市場に上場する代表的な500銘柄に分散投資ができる国内ETFです。
世界最大規模の資産運用会社であるブラックロックの日本法人が管理会社となっていますが、どんな内容のETFなのか確認してみました。
iシェアーズ S&P500 米国株 ETF(1655)の特徴
投資対象
iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)は、「S&P500(税引後配当込、TTM、円建て)」の動きに連動する投資成果を目指す東証に上場しているETFです。
S&P500は、ニューヨーク証券取引所やNASDAQなどに上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を基に算出される、時価総額加重平均型株価指数です。
参考 S&P500に連動する国内ETFを比較!おすすめなのは?
米国株式市場の動向を表す株価指数としてはダウ平均が有名ですが、ダウ平均は構成銘柄数が30銘柄で平均株価をリアルタイムで公表する株価平均型株価指数となっていて、S&P500とは構成銘柄数、インデックスの算出方法に違いがあり、S&P500の方が幅広い銘柄に分散投資されます。
参考 NYダウに連動する投資信託やETFを比較!おすすめなのは?
※下記はiシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)の2022年11月末時点の情報です。
業種別構成比率
組入上位10銘柄
ファンドの仕組み
iシェアーズ S&P500 米国株 ETF(1655)では実際の個別株式には投資せず、iシェアーズ・コア S&P500 ETF(IVV)への投資となっています。
参考 iシェアーズ・コア S&P500 ETF(IVV)の評価って?利回りや配当はどのくらい?
信託報酬などのコスト
売買手数料 | SBI証券、楽天証券、auカブコム証券なら売買手数料が0円 参考 おすすめネット証券比較(国内株式・ETF編) |
信託報酬(税込) | 0.077% |
分配金・配当金
iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)は、決算は毎年2回(2月9日、8月9日)で下記の様に分配金が出されていて、分配金利回りは1.02%です。
※分配金は税引前1口当たり
ETFは税法により、発生した利子や配当などの収益から信託報酬などの費用を控除した全額を分配することになっているので、投資信託(非上場)でみられる自己資産を切り崩したタコ足配当がないので安心して受け取れます。
また、iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)は外国税額控除の可能性の高い銘柄となっているので、自動的に二重課税調整が行われそうです。(NISA口座の場合は国内では非課税となり、二重課税とならないので対象外です)
平均売買高・マーケットメイカー
iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)は、平均売買高(直近90日)3,077,109口と流動性はそこそこあり、マーケットメイク制度の対象銘柄なので、公正な価格で売買することができます。
マーケットメイクはETFの流動性を向上させるために導入された制度で、野村証券や三菱UFJモルガン・スタンレー証券などのマーケットメイカーが常に買いや売りの注文を出し続けることで流動性が確保されています。
本制度において、当取引所は、申請をもとに銘柄ごとにマーケットメイカーを指定し、指定を受けたマーケットメイカーは、気配提示義務を履行することで、インセンティブ(報酬)を得ることができます。マーケットメイカーが気配提示義務を履行することによって、対象のETFに対して、需給動向を踏まえた公正な価格で、十分な量の気配が提示されることになり、投資家の皆様が売買をしたいタイミングで、より良い価格で売買する環境を提供できるようになります。
日本取引所グループ「マーケットメイク制度」より
ETFは市場でリアルタイムに売買できるのがメリットですが、買いたい時に買って、売りたい時に売るためには、出来高や売買代金が多い等の流動性が重要になってきますが、iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)は流動性について心配する必要はなさそうです。
スプレッド・最良気配平均執行可能金額
ETFの流動性でチェックしたい指標としてはスプレッドとデプスもあります。
スプレッドは売り気配と買い気配の差で、デプスは取引可能な注文数量ですが、iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)は下記のようになっています。
- 平均スプレッド:0.034%
- 最良買い気配平均執行可能金額:125,345,275円
- 最良売り気配平均執行可能金額:128,570,647円
※2022年11月平均
スプレッドも狭く最良気配平均執行可能金額も十分大きいので、低コストで十分な金額の取引が可能です。
繰上償還
iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)は、信託期間は無期限ですが下記の条件に該当した場合は信託期間の途中でも信託を終了(繰上償還)させる場合があります。
- 設定日から3年経過の日以降に受益権の口数が800万口を下回った場合
- 投資者のため有利であると認めるとき、又はやむを得ない事情が発生した場合
iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)の受益権口数は、117,181,700口あるので当面は繰上償還となるリスクは低いです。
運用実績(トータルリターン)・利回り
ETF | インデックス | |
3ヶ月 | ー0.19% | ー0.24% |
1年 | +5.21% | +4.94% |
3年 | +65.24% | +64.60% |
5年 | +100.32% | +98.70% |
設定来 | +109.88% | +110.46% |
※iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)「運用実績」より
※設定日は2017年9月27日
※税引前分配金を再投資したものとして算出されたもので、ファンドに関する費用(管理報酬およびその他の経費)は控除後です
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果は保証されません
ETFの方がパフォーマンスが良くなっていますが、インデックスは税引後配当込ですがトータルリターンでは税引前分配金を再投資したものなので、ETFの方がややパフォーマンスが良くなっているものと思われます。
過去のチャート
「iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)」はS&P500に連動するので、同じくS&P500をベンチマークとする信託報酬が低コストの「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と比較したのが下記となります。
参考 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の評価・評判は?利回りや実質コストは?
(引用元:モーニングスター)
オレンジがiシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)、赤がeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の過去3年間のトータルリターンのチャートです。
同じS&P500に連動しているのでチャートで比較してもほとんどパフォーマンスは変わらないのですが、3年のトータオルリターンではやや「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の方がパフォーマンスは良く、直近1年では「iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)」の方が良かったようです。
「iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)」は信託報酬を0.165%(2020年6月まで)→0.0825%(2022年11月まで)→0.077%と引き下げてきているので、ここら辺の影響が出ている可能性があります。
類似ETFとの比較
「S&P500」をベンチマークとするETFを比較したのが下記となっています。(上4つが為替ヘッジなし、下4つが為替ヘッジありです)
ファンド名 | 信託報酬 | 最低買付金額 | 分配金利回り | トータルリターン | ||
---|---|---|---|---|---|---|
1年 | 3年 | 5年 | ||||
iシェアーズ S&P500 米国株 ETF 【1655】 | 0.077% | 3,703円 | 1.02% | 5.21% | 18.22% | 14.91% |
MAXIS 米国株式(S&P500)上場投信 【2558】 | 0.077% | 14,740円 | 1.18% | 5.08% | -- | -- |
NEXT FUNDS S&P500指数 (為替ヘッジなし) 連動型上場投信 【2633】 | 0.077% | 23,735円 | 1.55% | 5.11% | -- | -- |
上場インデックスファンド 米国株式(S&P500) 【1547】 | 0.165% | 56,310円 | 0.78% | 5.04% | 18.13% | 14.67% |
iシェアーズ S&P500 米国株 ETF 為替ヘッジあり 【2563】 | 0.077% | 2,459円 | 1.13% | -16.71% | -- | -- |
MAXIS 米国株式(S&P500)上場投信 為替ヘッジあり 【2630】 | 0.077% | 9,699円 | 1.22% | -16.75% | -- | -- |
NEXT FUNDS S&P500指数 (為替ヘッジあり) 連動型上場投信 【2634】 | 0.077% | 19,115円 | 1.15% | -16.42% | -- | -- |
上場インデックスファンド 米国株式(S&P500) 為替ヘッジあり 【2521】 | 0.165% | 13,210円 | 0.97% | -16.67% | 7.69% | -- |
参考 S&P500に連動する国内ETFを比較!おすすめなのは?
ETFが設定されてからあまり経過してないETFも多いですが、過去1年、3年、5年とiシェアーズ S&P500 米国株 ETFが最も高いトータルリターンとなっています。(分配金は課税後に再投資することになるので実際にはトータルリターンはもう少し低いです)
今後他のETFも運用が改善されトータルリターンがiシェアーズ S&P500 米国株 ETFより高くなるかもしれませんが、過去の実績としてはiシェアーズ S&P500 米国株 ETFが最もトータルリターンが高いです。
また、積立する場合や分配金・配当金を再投資したい場合も「iシェアーズ S&P500 米国株 ETF」が最低買付金額が低いので有利です。
当ETFの情報
- 分類:国内ETF
- ベンチマーク:S&P500(税引後配当込、TTM、円建て)
- 売買手数料:各証券会社により異なるが、SBI証券・楽天証券・auカブコム証券なら0円
- 信託報酬(税込):0.077%
- 純資産残高:約452億円
- 分配金利回り:1.02%
- 売買単位:10口(約3,700円(2022年12月))
- 平均売買高(直近90日):約300万口
- 決算:年2回(2、8月の9日)
- 設定日:2017年9月27日
評価・まとめ
iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)は、S&P500(税引後配当込、TTM、円建て)の動きに連動する投資成果を目指すので、米国の株式市場に上場する代表的な500銘柄に分散投資ができる国内ETFです。
iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)は信託報酬を段階的に引き下げ最低水準のレベルとなっています。
過去5年間のトータルリターンや、最低買付金額が少なく済む点も類似のETFと比較して有利なので、S&P500の成長性を期待しつつ日本円で分配金・配当金を受け取りたい方に向いています。
また、S&P500に長期投資するなら最低投資金額100円から自動積み立てもできる投資信託で「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」のようなファンドであれば信託報酬は国内ETF並みの低コストで投資することができます。
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国内ETFは、国内株式同様に売買手数料が必要となりますが、SBI証券と楽天証券は簡単な手続きを行えばETF含む株式の売買手数料が無料となるのでお得です。
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