空売りは、下落傾向にある銘柄を空売りして利益を上げるだけでなく、保有銘柄が長期的には上昇トレンドでも短期的に下落しているときに空売りしてリスクをヘッジすることにも利用することができます。
一般的に株価は上昇よりも下落するスピードが速いため、空売りを利用すれば短期の取引でも利益を上げやすいですが、日本国内から米国株の信用取引(空売り)ができるのか確認してみました。
米国株の信用取引対応状況って?
日本国内で米国株の取り引きができるネット証券は、SBI証券・楽天証券・マネックス証券・サクソバンク証券・DMM 株がありますが、各証券会社の信用取引の対応状況は下記の様になっています。
SBI証券
※SBI証券「FAQ」
SBI証券では米国株だけでなく、中国、韓国、ロシア、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシアなどの株式も取引することができますが、米国株を含む海外株式は現物取引のみとなっています。
楽天証券
※楽天証券「FAQ」
楽天証券も米国株式の信用取引を行うことはできません。
マネックス証券
※マネックス証券「FAQ」
マネックス証券でもSBI証券、楽天証券同様に米国株の信用取引を行うことができません。
サクソバンク証券
※サクソバンク証券「FAQ」
DMM 株
DMM 株の信用取引は上記のように国内上場の銘柄のみで、米国株は信用取引の対象外です。
米国株の空売りをするには?
日本国内で米国株の取り引きができるネット証券である、SBI証券・楽天証券・マネックス証券・サクソバンク証券・DMM 株では米国株の信用取引に対応している証券会社はないので空売りを行うことができません。
ただ、CFDなら米国株式を買いも売りもでき、レバレッジをかけた取引を行うことも可能です。
CFDは「差金決済取引」のことで、為替の取引ができるFXも差金決済取引の一つで、株式などの取引の場合は、株券という現物のもの保有し、売却すると株券を手放すことになりますが、差金決済では現物がない取引のことを言います。
CFDと信用取引の違いって?
CFDには、くりっく株365(取引所CFD)と店頭CFDがありますが、米国株式を取引できるのは店頭CFDのみです。
信用取引(国内株式)と、店頭CFDで米国株を取引する場合(GMOクリック証券)を想定すると違いは下記の様になります。
CFD | 信用取引 | |
---|---|---|
取引単位 | 単元株 | |
売り | できる | |
レバレッジ | 5倍 | 3倍 |
手数料 | 無料 | プランや取引高に応じて異なる |
配当相当額 | あり(売りの場合支払) | あり(売りの場合支払) |
金利 | あり(売りの場合受取) | あり(売りの場合貸株料を支払) |
その他コスト | スプレッド | 逆日歩(売りの場合支払) |
取引期限 | 無期限 | 6ヶ月(一般信用では無期限もあり) |
CFDで米国株を取引する際の特徴としては、下記のような点が挙げられます。
- レバレッジが5倍までかけられる
- 取引手数料は無料(GMOクリック証券の場合)
- 買いの場合は配当相当額を受け取れ、金利を支払う(売りの場合はそれぞれ逆)
- 取引期限は無期限
CFDで空売りする場合は、金利を受け取ることができますが、例えばGMOクリック証券の場合の計算式は下記のような記載があります。
株式CFDの金利調整額は当社終値をもとにLIBOR(又はHIBOR)に±3%を加減し計算を行い当社が決定いたします。
※GMOクリック証券「FAQ」
空売りの場合は「LIBORー3%」となりますが、マイナスとなる場合は金利調整額の支払いが発生します。(2021年末にLIBORは廃止予定です)
下記はGM(ゼネラルモーターズ)の金利調整額ですが、売りの場合でもマイナスとなっています。
ただ、端数があった場合は切り捨てとなっていて、1円未満の場合は切り捨てとなるので、例えば上記のGM(ゼネラルモーターズ)の場合15株まとめて取引すると金利の支払いが発生しますが、1株づつなど分割して注文することにより金利の支払いはなくなります。
試しにGM(ゼネラルモーターズ)で1株の取引と15株をまとめて取引して、一日経過したときの金利調整額は下記の様になり、1株では端数が切り捨てとなり金利調整額が0円なのに対して、15株の場合は金利調整額がー1円と金利の支払いが発生していました。
また、CFDでは買値と売値の差であるスプレッドが取引するたびに必要となるコストとなり、銘柄ごとによって異なりますが、例えばGMOクリック証券のGM(ゼネラルモーターズ)株だと下記の真ん中に表示されているように「0.1」ということになります。
米国株式をCFDで空売りできる会社って?
CFDで米国株式の取引ができるのは、GMOクリック証券、サクソバンク証券、IG証券がありますが、それぞれの違いについては下記の様になります。
GMOクリック証券 | サクソバンク証券 | IG証券 | |
---|---|---|---|
取扱銘柄数 (米国上場株) | 63 | 約6,000 ※1 | 約7,000 |
レバレッジ | 5倍 | 5倍 (一部例外あり) | 5倍 (一部例外あり) |
口座管理・維持費用 | なし | なし | なし(条件付き) ※2 |
手数料 | 0円 | 取引数量×0.15% (最低5米ドル) | 2.2セント/1株 (最低16.5米ドル) |
スプレッド(Apple) | 0.5 | 約0.02 | 約0.04 |
スプレッド(Facebook) | 1 | 約0.22 | 約0.12 |
スプレッド(Amazon) | 5 | 約2.86 | 約1.83 |
スプレッド(テスラ) | 5 | 0.14 | 0.7 |
※1:アドバンスコースの場合
※2:証拠金を預けてる状態で6ヶ月以上全ての口座にポジションがない、かつ、6ヵ月以上取引をしていない場合は月額550円
取扱銘柄はサクソバンク証券とIG証券が圧倒的に多く(一部の銘柄は空売りはできない)、GMOクリック証券はメジャーな銘柄(アップルやアマゾン、Facebookなど)のみ取引ができます。
参考 GMOクリック証券「株式CFD取扱銘柄」
手数料はGMOクリック証券のみ0円で、サクソバンク証券やIG証券では最低手数料が決まっているので、取引数量が少ない場合は不利となりますが、スプレッドがGMOクリック証券より狭いので、取引数量が多ければサクソバンク証券やIG証券の方が低コストで取引できます。
例えばAppleの株を取引する場合のトータルコスト(往復手数料+スプレッド)を比較すると下記の様になります。
9株までの取引ならばGMOクリック証券が最も低コストですが、それ以上はサクソバンク証券が最も低コストで約70株以上の取引ならIG証券が最も低コストとなります。
ただ、テスラのようにGMOクリック証券でのスプレッドが5と広い銘柄の場合は、少ない取引数量でもサクソバンク証券やIG証券の方が低コストとなったりもするので銘柄のスプレッドには気を付けたいところです。
まとめ
日本国内で米国株の取り引きができるネット証券は、SBI証券・楽天証券・マネックス証券・サクソバンク証券・DMM 株がありますが、どこも米国株の信用取引は取り扱っていないので空売りすることはできません。
ただ、CFDを利用すれば米国株の売り取引を行うことができ、レバレッジを最大5倍程度までかけて取引することが可能です。
CFDで米国株式の取引ができるのは、GMOクリック証券、サクソバンク証券、IG証券がありますが、取扱銘柄はサクソバンク証券とIG証券が圧倒的に多く、GMOクリック証券はメジャーな銘柄(アップルやアマゾン、Facebookなど)のみ取引ができます。
取引手数料は、銘柄のスプレッドによってトータルコストが変わってきますが、取引数量が小さい場合はGMOクリック証券が低コストで取引ができますが、GMOクリック証券でスプレッドが比較的広い銘柄に関しては取引数量が小さくてもサクソバンク証券やIG証券の方がトータルコストが安くすむ場合があります。
米国株のメジャーな銘柄で取引数量が少ない取引をするならGMOクリック証券
取引手数料が無料なので、気軽に米国株の買いも売りもレバレッジをかけて取引することができます。もちろん口座開設・維持費用は無料です。
>> GMOクリック証券【CFD】
約6,000銘柄の米国株を取引できるのがサクソバンク証券
最低手数料があるので、取引数量が少ないと不利となりますが、GMOクリック証券でスプレッドが広い銘柄などはサクソバンク証券の方が低コストとなる場合があります。またGMOクリック証券で取引できない銘柄も数多く取引することができます。
もちろん口座開設・維持費用は無料です。
>> サクソバンク証券(公式サイト)
米国株CFDなら圧倒的な取り扱い銘柄数を誇るIG証券
サクソバンク証券と同様に最低手数料があるので、取引数量が少ないと不利ですが、ある程度の取引数量を取引するならサクソバンク証券よりも低コストで取引できます。
また、取り扱い銘柄数が多いので他の証券会社で取引できないような銘柄でもIG証券なら取引できるかもしれません。
>> IG証券(公式サイト)
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