楽天証券では、株式のトレードツールの草分け的存在で人気の高いマーケットスピードを提供していますが、さらに進化させたマーケットスピード2というツールもあります。
プロの投資家も使う取引手法を誰でも使えるようにするなど、ネット証券でも一歩先行く機能を搭載したマーケットスピード2のメリットやデメリットについてまとめてみました。
参考 既存のマーケットスピードについては下記も参考にしてみてください。
マーケットスピード2(MARKETSPEED II)のメリットとは?
プロの投資家が利用する投資手法を誰でも利用できるようにした「アルゴ注文」
マーケットスピード2の最大の特徴は「アルゴ注文」を実装したことで、事前に登録した条件に合致したときに自動で注文が発注される機能です。
「アルゴ注文」を登録すると登録すると、楽天証券のシステムが登録した条件を満たすか監視を行い、自動的に取引所へ注文が執行されるので、パソコンの電源を落としていても注文が執行されます。
アルゴ注文は下記のような種類があります。
アイスバーグ注文
アイスバーグ注文は、1つの注文を少しずつ小分けにして、前の注文が約定したら次の注文を発注する機能で、取引が活発でない銘柄や、大量の売買注文をしたい場合に有効です。
メリット
- 自分の注文を見た他の投資家に先回りされる可能性が減る
- 自動で分割発注できるので、自分で発注する手間が省ける
- 分割発注しても1つの注文として手数料をまとめられる
アイスバーグ注文で例えば10,000株の注文を最大50回に分割して注文することができ、均等に注文することや、ランダムに分割することも指定できます。
分割しても手数料は1つの注文として計算されるので、自分で注文するよりは有利になることの方が多そうです。(執行条件は当日のみしか指定できません)
スナイパー注文
スナイパー注文は、指定した価格の気配が表示されるまでは発注せずに待機し、表示されたときに瞬時に発注する機能で、取引が活発でない銘柄を取引したい場合に有効です。
メリット
- 大きな注文を執行する際に、自分の手口を他の投資家に悟られないで執行できる
- 自分の注文を板に表示させないことで、有利な価格で取引できる可能性が高まる
- 相場状況を監視せずに自動で発注できるので手間が省ける
- 複数の注文に分割されて約定しても約定代金は合計して1つの注文として手数料をまとめられる
スナイパー注文は、例えば売りの最良気配が100円以下になったら500株の買い注文を発注した場合に、100円以下での売り注文が出たら即座に発注されるので、指定した指値より低い価格で約定できる可能性もあります。
執行条件はIOCのみで、指定した価格よりも同じかそれよりも有利な価格で発注し、約定しなかった数量は即時に取り消され、下記を指定します。
- 買い注文の場合は、売り注文の最良気配が何円以下になったら発注するか
- 売り注文の場合は、買い注文の最良気配が何円以上になったら発注するか
スナイパー注文は、当日中のみ有効で翌日に繰り越すことはできません。
トレイリング注文
トレイリング注文は、逆指値注文を設定しつつ、株価が自分にとって有利な方向に動いた場合は逆指値価格を自動で修正する注文で、損失を限定しつつ、利益の拡大を狙うことができ、現物取引の売り注文と信用取引の返済注文でのみ利用することができます。
メリット
- 損失を限定しつつ、利益の拡大を狙える
- 有効期間は、30営業日先まで設定可能
- 「損切りは早く、利食いは遅く」という投資上級者の戦略が誰でも使える
トレイリング注文では、例えば買いの場合、株価が上昇し高値を更新したら逆指値の価格も自動的に上昇するので、その後株価が下がっても上昇した逆指値の価格で約定して利益が確定されます。
トレイリング注文の有効期間は30営業日先まで指定することができます。
リザーブ注文
リザーブ注文は、日次や株価を指定して発注できる機能で、決算発表や経済指標の発表に合わせて取引する場合に便利な機能です。
メリット
- あらかじめ注文を出すタイミングを予約できるから発注タイミングを逃さない
- 値幅制限外の価格でも指定ができるので、急騰や急落にも備えられる
リザーブ注文は、例えば決算発表の内容を予測して買い注文を予約することができ、株価が上昇しきる前に買うようなことができます。
また、制限値幅外の価格も指定できるので、悪材料が出て急落している場合に値ごろ感がある価格に注文を入れておけば株価をチェックする必要もなく自動で発注してくれます。
日時指定では、30営業日先まで8:00~14:59の分単位で指定することができますが、日付と株価の両方を指定することはできません。
リンク注文
リンク注文は最大10個の注文を連続して登録できる機能で、注文は銘柄や売買の種類に関係なく自由に組み合わせることができ、通常注文、逆指値付通常注文、逆指値注文、トレイリング注文を利用することができます。
メリット
- 事前に条件を登録することで、最大10個まで連続した売買を自動的に執行可能
- イフダンOCO注文の利用が可能(1つ目に新規注文、2つ目に決済注文として損切りと利食いを両方設定する)
以前は、約定を確認してからでないと次の注文が出せませんでしたが、リンク注文を使えば事前に条件を登録しておけば、前の注文が約定したら自動で次の注文が発注されるので常に約定結果を確認する必要がなくなります。
>> 楽天証券(公式サイト)
多くの情報を扱いやすい画面
マーケットスピード2ではアルゴ注文以外にも情報取得ツールとしても進化していて、下記のような機能が実装されています。
- マルチウィンドウ対応
- 一画面に必要な情報を集約
- ヒートマップやマルチチャートを追加
マルチウィンドウ対応
以前のマーケットスピードは、パソコン1台に対して1つのディスプレイで使うのが前提となっていましたが、マーケットスピード2では新しいウィンドウをサブウィンドウとして起動させることができ、マルチディスプレイなどに利用することができます。
一画面に必要な情報を集約
マーケとスピード2では、個別銘柄に関する情報は1画面に集約させています。
投資情報のチェックだけでなく発注や保有状況の確認も同じ画面から可能で、指定した指数や為替、先物の現在値やチャートも同時に表示させることができます。
また、個別銘柄は複数のリストから簡単に切替ることができます。
ヒートマップやマルチチャートを追加
ザラバ情報では、自分の気になる銘柄を登録しておくことでいろいろな形式で登録した銘柄の一覧を見ることができますが、新たにヒートマップ機能やマルチチャート機能が追加されました。
ヒートマップでは、相場状況を視覚的にとらえやすくなっていて、マルチチャートでは、時価情報だけでなくチャートが表示されるので、登録した銘柄の値動きが1画面で確認することができます。
【ヒートマップ】
【マルチチャート】
操作性の向上
マーケットスピード2のチャートはマーケットスピードではできなかった、チャートの移動や拡大・縮小、表示期間の変更がマウス操作で直感的に行えるように改善されていたり、銘柄をリストから簡単に切り替えられたり、最大4つまでチャートを同時に表示できるようになったりとマーケットスピードより使いやすくなっています。
チャート発注も行うことができ、チャートを見てすぐに発注できたり、注文中の指値ラインが表示され、ラインを動かすことで訂正も可能です。
また、ニュースの配信日にアイコンが表示され、内容がすぐ確認できるため、株価がどのような要因で変動したかなどの分析に活用できます。
夜間取引にも対応
楽天証券では、2019年3月より「ジャパンネクストPTS」の夜間取引(17:00~23:59)の取り扱いを開始し、マーケットスピード2でも夜間取引ができるようになりました。
場が終了した後に発表される企業の決算情報やニュース、欧米市場の動向などによる株価変動に対応したリアルタイムな取引を行うことができ、手数料は通常の国内株式手数料と同じ体型で取引することができます。
夜間取引に対応することで、8:00~23:59まで取引することができるようになります。(PTS取引の取扱い時間外(16:00~17:00)を除く)
対象は現物株式のみで信用取引はできず、夜間取引の場合は翌営業日の8:00から16:00の間の日中取引と同じ扱いとなるので、権利付最終日の夜間取引で買付した場合、配当や株主優待などの権利は得られない点は注意が必要です。
利用料は無料
マーケットスピード2は、以前は特定の条件を満たした方のみ無料で利用できたのですが、現在は条件なく誰でも無料で利用することができます。
マーケットスピード2(MARKETSPEED II)のデメリットは?
Windows版しか対応していない
マーケットスピード2は現在はWindowsのみに対応していてMacやスマホなどには対応していません。
高機能なツールなだけに必要環境や推奨環境もある一定以上のスペックのPCが求められます。
米国株式などは未対応
既存のマーケットスピードでは米国株や海外先物取引にも対応していますが、マーケットスピード2では国内株式の現物・信用取引、先物・オプション、国内商品先物取引のみ対応しています。
今後は米国株などにも対応していくものと思われます。
アルゴ注文はマーケットスピード2でしか利用できない
アルゴ注文はマーケットスピード2以外では原則利用できないのもデメリットの1つです。
PCウェブサイトでは登録条件の照会、取消のみ可能です。
他社トレーディングツールとの比較
ネット証券各社でもトレーディングツールを提供していますが、比較すると下記の様になります。
証券会社 | 楽天証券 | SBI証券 | 松井証券 | カブドットコム 証券 |
---|---|---|---|---|
機能 | マーケットスピード2 | HYPER SBI | ネットストック ハイスピード | Kabuステーション |
発注機能 | ◎ | × | × | 〇 |
銘柄選択 | ◎ | × | × | × |
気配情報 | ◎ | 〇 | × | ◎ |
スクリーニング | 〇 | 〇 | × | △ |
カスタマイズ | ◎ | 〇 | △ | 〇 |
利用料金 | 無料 | 500円(税抜)/月 無料条件あり | 無料 | 900円(税抜)/月 無料条件あり |
※マネックス証券もトレードステーションを提供してましたが、日本株取引のサービスが終了するので対象外
マーケットスピード2が全体的に機能が拡充された形となっていて、国内株式のトレードをするなら一度試してみてはいかがでしょうか。
>> 楽天証券(公式サイト)
またマーケットスピード2の特徴の1つでもあるアルゴ注文の実装状況は下記となっていて、マーケットスピード2が一歩リードしています。
注文種類 | 楽天証券 | SBI証券 | 松井証券 | カブドットコム証券 |
---|---|---|---|---|
IF-DONE OCO | 〇 | × | 〇 | 〇 |
リンク | 〇 | × | × | △ |
トレーリング ストップ | 〇 | × | × | △※1 |
アイスバーグ | 〇 | × | × | × |
スナイパー | 〇 | × | × | × |
※1:トレーリングの開始価格を指定できず、当日の高値・安値が発注基準となる
既存のマーケットスピードはそのまま利用可能
既存のマーケットスピードとマーケットスピード2は別のアプリとなっているので、既存のマーケットスピードとマーケットスピード2は両方利用することができます。
また、マーケットスピードの「登録銘柄」、「マイページ」の登録画面(対応画面のみ)、「環境設定」をマーケットスピード2に引き継ぐことが可能となっています。
また、マーケットスピードとの違いとしては下記のような点が挙げられますが、取引できる金融商品がまだマーケットスピード2の方が少ないですが、国内株式については機能が拡充されているといった感じです。
まとめ
楽天証券では、株式のトレードツールの草分け的存在で人気の高いマーケットスピードを提供していますが、さらに進化させたマーケットスピード2がリリースされ、メリット・デメリットは下記のような点が挙げられます。
- プロの投資家が利用する投資手法を誰でも利用できるようにした「アルゴ注文」
- 多くの情報を扱いやすい画面
- 操作性の向上
- 夜間取引にも対応
- 利用料は無料
- Windows版しか対応していない
- 米国株式などは未対応
- アルゴ注文はマーケットスピード2でしか利用できない
特にアルゴ注文を実装したことが大きな特徴で、スナイパー注文やアイスバーグ注文、リザーブ注文、リンク注文など短期売買をする方にも大きな武器を手に入れらますが、場を常に監視出来ない方にもメリットがある注文方法が実装されています。
いちにち定額コースなら1日の取引金額50万円までは手数料は0円と少額の銘柄に投資するにもメリットがありますので、国内株式の取引をするなら楽天証券を検討してみてください。
>> 楽天証券(公式サイト)
楽天証券では楽天銀行との口座連携サービス「マネーブリッジ」を利用すれば普通預金金利はメガバンクの100倍の0.1%とお得です。
さらに楽天証券では投資信託のサービスも拡充されていて、楽天市場での買い物など楽天グループのサービスの利用で獲得できる楽天スーパーポイントで投資信託を購入できたり、楽天カードで投資信託を積立すると1%のポイントが獲得できるなど、楽天グループならではのサービスが拡充されているので、合わせて検討してみてください。
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