株式投資型クラウドファンディングである「イークラウド」は、非上場企業へ投資が行えるサービスです。
投資した企業がIPOや事業売却されれば大きな利益が期待できるサービスですが、どのような特徴があるサービスなのか確認してみました。
株式投資型クラウドファンディングとは?
株式投資型クラウドファンディングは、非上場株式の発行により、インターネットを通じて多くの人から少額ずつ資金を集める仕組みで、2015年5月に金融商品取引法等の改正等により創設された仕組みです。
以前はグリーンシートで非上場株式の売買ができましたが、株式投資型クラウドファンディングが制度化され、グリーンシートは2018年3月に廃止され、グリーンシート銘柄の取引は出来なくなっています。
株式投資型クラウドファンディングでは金融商品を取り扱うため、金融商品取引法の規制対象となり、日本証券業協会の自主規制の対象にもなっていて下記のような規制があることが特徴です。
- 株式投資型クラウドファンディングにおいて取り扱う株式とその株式を発行する会社の財務状況、事業計画の妥当性や資金使途等を審査し、適当と認めたもののみを取り扱う
- 同一の会社が資金調達を行うことができる金額は、1年間に1億円未満
- ウェブサイトを閲覧させる方法又は電子メールを送信する方法によってのみ投資勧誘が認められていて、電話や訪問による投資勧誘は禁止
- 投資家が投資できる金額は同一の会社につき1年間に50万円以下
- 株式投資型クラウドファンディングで取り扱う株式及びその株式を発行する会社の概要や、資金調達等の内容をウェブサイトにおいて公表する
また、非上場株式等の募集を行うには、第一種少額電子募集取扱業の登録が必要となります。
イークラウドとは?
イークラウドは個人投資家がベンチャー企業に投資できる株式投資型クラウドファンディングで、イークラウド株式会社が運営するサービスです。
基本情報
社名 | イークラウド株式会社 |
設立日 | 2018年7月 |
代表者 | 波多江直彦 |
金融商品取引業 | 第一種少額電子募集取扱業者 関東財務局長(金商)第3181号 |
加入協会 | 日本証券業協会 証券・金融商品あっせん相談センター |
関連会社 | ・XTech株式会社 ・株式会社大和証券グループ本社 ・Fintertech株式会社 |
イークラウド株式会社は、スタートアップ企業を作り続けるスタートアップスタジオを運営するXTech(クロステック)の子会社で、大和証券グループの子会社であるFintertechも資本金の約40%出資しています。
代表取締役の経歴
イークラウド株式会社の代表取締役である波多江直彦氏の経歴は下記となっています。
慶應義塾大学法学部卒業後、サイバーエージェントに入社。広告代理部門、スマホメディア、オークション事業立ち上げ、子会社役員等を経て、サイバーエージェント・ベンチャーズで投資事業に従事。その後XTech Venturesにおいてパートナーとして、VR・SaaS・モビリティ・HRTech・シェアリングエコノミー・サブスクリプションサービス等への投資実行を担当。2018年7月にイークラウド株式会社を創業、2019年12月代表取締役就任。
その他、長年金融に携わっている方が取締役となっています。
取締役 戸塚誠一
大阪大学卒業後、大和証券に入社。証券アナリストにて社会人人生を始める。証券アナリストに対する社会の認知度が高まる時期に企業の分析、業績予想、投資判断などを行う。その後は、企画、金融商品仲介、ラップ等の部署に所属。証券会社の業務範囲が広がる中で、新しい業務の企画・立ち上げ、提携交渉等に従事。2018年12月、イークラウド株式会社 取締役に就任。
取締役 星屋和紀
1979年新日本証券(現みずほ証券)入社。個人営業部門から債券ディーラー部門を経てコンプライアンス部門に13年在籍。その後、日本証券業協会監査一部で専門監査員となり、2019年3月にイークラウド株式会社入社。同年12月より同社取締役に就任。
メディア実績
イークラウドは下記のようなメディアで取り上げられています。
イークラウドの仕組み
イークラウドでは、非上場株式の発行によりインターネットを通じて多くの人から少額ずつ資金を集める仕組みとなっていて、投資家は気になったベンチャー企業に投資することができます。
イークラウドの特徴やメリット
投資した企業がIPOやM&Aされれば大きなリターンの可能性がある
イークラウドの投資対象は、非上場のベンチャー企業なので、IPOやM&Aに至った場合には投資金額の数倍~数百倍のリターンを得られる可能性があります。
FacebookやTwitter、日本ではメルカリなど、過去にユニコーン企業といわれていた企業のようになってくれたら大きなリターンが見込めそうです。
大和証券グループとの連携
関連会社にも名を連ねている国内大手証券会社である大和証券グループと連携して事業運営を行うとのことなので、信頼性が高いサービスが期待できそうです。
案件の選別や、投資対象がIPOを目指すために必要な助言や、IPOするとなった時などの手助けなども期待できるかもしれません。
株主優待を受けることができる
イークラウドで扱うすべての案件ではないですが、商品やサービスの割引などの株主優待を実施する企業もあるようです。
配当の有無は、投資先企業の業績や配当方針等によって異なりますが、ベンチャー企業の多くは配当を出さない場合が多いと思われます。
エンジェル税制で節税対策ができる
イークラウドで投資できる一部の企業には、エンジェル税制の対象となる企業があります。
エンジェル税制とは、ベンチャー企業へ投資を行った個人投資家に対して投資した金額に応じて税制上の優遇措置が受けられるので、節税することができます。
ただ、エンジェル税制の対象となっているから投資をするというよりは、今後伸びそうな企業や応援したい企業に投資を行うので、そういう企業がエンジェル税制の対象となっていたら少しお得といった感じかとは思います。
イークラウドのデメリット
必ずしも利益が出るわけではない
イークラウドで投資した企業がIPOやM&Aなどが行われば大きなリターンとなりえますが、必ずしもそのようなイグジットがされるわけではありません。
イグジットできず、そのまま倒産となれば出資金が全額戻ってこない可能性もありえます。
ただ、投資した企業が倒産となっても出資した金額以上に支払いが発生するなどはありません。
非上場株式なので流動性は低い
投資するのが非上場企業の株式となるので、流動性が低く市場で売却するようなこともできないのですぐに現金化するようなことは難しいです。
また、イークラウドで取得した株式に関しては通常は、譲渡制限されているので譲渡も難しい場合が多く、投資先企業の承認が得られないと譲渡も難しいと考えておいたほうが良さそうです。
イークラウドのよくある質問とは?
- 投資後キャンセルはできますか?キャンセルする場合、手数料はかかりますか?
-
申込み以降、その募集案件の最終申込み日(キャンセル待ちの申込みを含む)の翌営業日から起算して8営業日までの期間、マイページより申込みをキャンセルすることができます。
また、キャンセルに際して、手数料等の費用は掛からず、既に投資資金を入金している場合は、後日登録の銀行口座あてに返金されます。(振込手数料はイークラウド負担)
- 投資先企業に対する議決権はありますか?
- 通常、投資先企業の普通株式を購入することで株主となるので、株主総会で議決権を行使することができます。
- NISAや特定口座の対象となりますか?
- 現時点ではNISAや特定口座の対象ではありません。
- 申し込みの際の手数料は?
-
イークラウドによる投資において、投資家からの手数料は発生しません。
但し、投資資金入金の際の振込手数料は投資家負担となります。
- 口座開設に費用は掛かりますか?
- 口座開設(投資家登録)の際に手数料などの費用は掛かりません。
イークラウドの評判は?
ネット上では下記のような口コミがありました。
新たな株式投資型のクラウドファンディングサービス、イークラウドがスタート✨
この領域は他社もありますが、運営の親会社が著名なVCというのもあって、このサービスは勝手に期待しております。
ぷくろーも早速投資家登録してみました😚https://t.co/uI1S2m8U9V pic.twitter.com/fqP52ccQmQ
— ぷくろー@副業×資産運用でFIRE🔥 (@pukuro7) June 17, 2020
シードはイークラウド、Pre-A以降はXTech、イグジットは大和証券という美しい座組。
エンジェル投資したいけどソーシングできない人に良さそうだし、事業者側もイグジットまで一気通貫できて良さそう。先行してるファンディーノがどうするかだなぁ。https://t.co/ArcrqUxYrk
— うめもと (@umechaso0520) June 17, 2020
角ハイ・ベンチャーに #イークラウド の升井が登壇。
普段は寡黙?な升井ですが、司会の川田さん(@Yuuuuuuuuuki001)、unname代表・宮脇さん(@keisuke_unname)に色々と引き出していただきました。
ありがとうございました🙏🙏次回は今週27日(土)開催とのことです😊🥃https://t.co/OcYx2VU44C pic.twitter.com/yAsQuMEe8R
— 井上 @グラレコ描き広報 (@c_inoue09) June 22, 2020
ちなみにイークラウドの先行登録した投資家属性は下記のようになっているようで。年収1,000万円以上が5割、経営者3割と比較的資金に余裕がありそうな方たちに注目されているようです。
イークラウドに先行登録してくれた投資家属性を分析しました。年収1,000万円以上の方が5割、経営者3割、仮想通貨取引経験5割と非常に濃い株主のコミュニティが形成できました。1号案件は近日公開予定です。投資家と一緒に起業家を応援し続けたいと思います。 pic.twitter.com/UCnjebQHe0
— 波多江直彦🌱ベンチャー×資金調達 (@nhatae) June 26, 2020
まとめ
株式投資型クラウドファンディングである「イークラウド」は、非上場企業へ投資が行えるサービスで、下記のような特徴が挙げられます。
イークラウドの特徴
- 投資した企業がIPOやM&Aされれば大きなリターンの可能性がある
- 大和証券グループとの連携
- 株主優待を受けることができる
- エンジェル税制で節税対策ができる
- 必ずしも利益が出るわけではない
- 非上場株式なので流動性は低い
まだこれからのサービスですが、大和証券グループとの連携は他にはない強みでもあるので、魅力的な案件が取り扱われることを期待したいです。
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