ロボアドバイザーによる投資一任運用型のサービスを各社出していますが、資産運用会社とは独立して中立な立場でサービスを提供しているのがウェルスナビ(WealthNavi)です。
SBI証券との業務提携によりSBI証券からも「WealthNavi for SBI証券」というサービスが提供されていますが、サービス内容の違いなど確認してみました。
ウェルスナビ(WealthNavi)とは?
ウェルスナビ(WealthNavi)は今まで富裕層や機関投資家しか利用できなかった金融アルゴリズムを提供するロボアドバイザーで、国際分散投資を完全自動化したサービスです。
「世界水準の資産運用とリスク管理をすべての人に」というミッションのもと、忙しく働く世代が安心して快適に将来に備えることができるように、資産を守り育てる資産運用を提供することを目的としています。
最近では数多くのロボアドバイザーが登場していますが、中には特定の投資信託のシリーズ商品だけを推奨するロボアドバイザーも存在しますが、ウェルスナビは中立的な立場で投資対象銘柄を選定することを約束しています。
また、下記のような大手金融機関・政府系ベンチャーキャピタルから出資を受けつつ、SBI証券・住信SBIネット銀行と業務提携を行うなど独立系ながら確固たる基盤を作っています。
ウェルスナビのメリットとは?
- 長期的な国際分散投資をETFで実現
- 資産運用の全プロセスを自動化
- 特定口座に対応
- 万が一の時でも預けた資産は守られる
- 多くの投資経験者が選ぶ優れた機能
長期的な国際分散投資をETFで実現
ウェルスナビは他のロボアドバイザー同様にいくつかの質問(6問)に答えるだけで、その人にあったポートフォリオを作成してくれます。
作成されるポートフォリオは、米ドル建てで米国に上場されている下記の基準で厳選したETFとその比率を提案してくれます。
- インデックス型
- 純資産残高が大きいもの
- 流動性が高いもの
- 低コスト
投資対象銘柄(2019年12月末時点)
資産クラス | 銘柄 | 運用会社名 (ブランド名) | 純資産総額 | 経費率 | 運用開始 |
米国株 | VTI | Vanguard | 14.8兆円 | 0.03% | 2001年5月24日 |
日欧株 | VEA | Vanguard | 8.4兆円 | 0.05% | 2007年7月20日 |
新興国株 | VWO | Vanguard | 7.3兆円 | 0.12% | 2005年3月4日 |
米国債券 | AGG | BlackRock(iShares) | 7.5兆円 | 0.05% | 2003年9月22日 |
物価連動債 | TIP | BlackRock(iShares) | 2.3兆円 | 0.19% | 2003年12月4日 |
金 | GLD | StateStreet(SPDR) | 4.7兆円 | 0.40% | 2004年11月18日 |
不動産 | IYR | BlackRock(iShares) | 0.5兆円 | 0.42% | 2000年6月12日 |
※純資産総額は1ドル=108.66円で計算
上記のETFをすべて米ドル建てで提案してくれるので、株式や債券、金、不動産といった資産クラスに分散投資がされるようなポートフォリオが作成されます。
日本では、預貯金や不動産、給与、退職金、年金などすべて円資産に集中しているリスクがあり、海外資産を保有することによって万が一の高インフレ、円安といった円の価値減少に対するリスクヘッジを行えることになります。
資産運用の全プロセスを自動化
ウェルスナビでは下記の様に資産運用にのすべてのプロセスを自動化してくれるので、完全ほったらかした運用が可能となっています。
1.目標金額とリスク許容度の設定
ウェルスナビではまず6つの質問に答えることによって、リスク許容度を診断され、資産運用のゴール(目標額)とその達成の可能性が可視化されます。
2.最適ポートフォリオの自動構築
1の質問に答えた結果より、1990年にノーベル賞を受賞したハリー・マーコビッツ氏の「ポートフォリオ理論」などに基づき、分散投資によるリスクの削減効果も考慮した上で最も効率的なリターンの獲得を目指したポートフォリオが提示されます。
参考 ウェルスナビの詳細な運用アルゴリズムは下記を参照してください。
WealthNaviの資産運用アルゴリズム(WhitePaper)
下記は初期投資100万円、リスク許容度を5段階中2とリスクをあまりとらない設定としたときのポートフォリオです。
リスクを比較的とらない設定で債券の割合が5割くらいといった感じで、この設定の場合、1300万円投資(初期100万円、積立毎月5万円)し20年後には47%の確率で1795万円以上になると提示されました。
参考 口座開設前でも無料診断できるので、下記より試してみてください。
>> WealthNavi(無料診断)
3.入金
資産運用を始めるには、ウェルスナビにある資産運用口座に資金を入金する必要があり。入金方法は「銀行振込」または「クイック入金」が利用できますが、銀行振込の場合は手数料が必要となります。
クイック入金は下記の銀行に対応していて手数料は無料となっています。
- 三井住友銀行
- みずほ銀行
- 三菱UFJ銀行
- 住信SBIネット銀行
- ソニー銀行
- イオン銀行
- auじぶん銀行
出金は手数料はかかりません。
4.自動発注
資産運用口座を開設し、リスク許容度の設定を行えば、指定口座に入金するだけで入金額に応じて、リスク許容度に応じた最適な配分を実現する各銘柄の購入数量を算出し、取引所に自動で発注してくれます。
5.分配金の自動再投資
長期投資では、分配金の再投資は重要で再投資することによって複利で資産を増やすことができるので、長期になればなるほど資産は大きく成長してくれます。
国内の証券会社ではETFの分配金を再投資する機能はないので、手動で行う必要があるのですが、ウェルスナビの場合ETFの分配金は現金が一定額になると自動でETFに再投資を行ってくれます。
再投資の際に購入する銘柄や数量は、ポートフォリオのリバランスの効果が得られるよう、自動的に最適な銘柄の数量を算出してくれます。
6.自動積立
ウェルスナビの自動積立機能はオプションで選べる機能で、銀行口座から毎月一定の金額を自動で引き落とし、自動で積立ててくれます。
積立金額は1万円から指定することができ、追加手数料はかからず入金手数料は無料ですので、無駄なコストをかけずに長期にほったらかし投資が可能です。
定期的な積み立てを行うことで時間的に分散を行い、ドルコスト平均法による価格変動リスクを抑える効果が期待できます。
もちろん積み立てた資金も自動的に最適な割合で追加投資が行われるので、特定の資産クラスの比率が高くなりすぎてリスクが大きくなってたなんてこともないので安心です。
7.自動リバランス
一度設定したポートフォリオも時間が経過すると徐々に崩れていきます。
例えば株式と債券の比率を各50%と設定し、時間が経過したのち、株式の値が上がり60%の比率に上昇していて債券の比率が40%に下がったので、リスクが高くなっていたなんてことがあり得ます。
このような状態になった時に、株式を一部売却してその資金で債券を購入することで元の各50%の比率に戻すことをリバランスといいます。
通常は手動にて1年毎くらいで見直すのが一般的ですが、ウェルスナビでは継続的にモニタリングして行って5%以上かい離がある場合、または前回のリバランスから半年経過した場合にリバランスを自動で行ってくれます。
追加投資や一部出金を行った際にもポートフォリオが最適な配分に近づくように売買する銘柄や口数を選定し、リバランスの効果を実現してくれます。
8.自動税金最適化(DeTAX)
分配金の受け取りやリバランスによって生じる税負担が一定額(目安として2万円以上)を超えた場合、ポートフォリオ組入銘柄が抱える含み損を実現することで翌年以降に繰り延べを行ってくれます。
例えば、分配金やリバランスによって10万円の利益が出ていて、ポートフォリオの組入銘柄の中に2万円の含み損がある場合、含み損がある銘柄を一旦売却してー2万円の損失を出したうえで買い戻します。
こうすることで、ポートフォリオ上の比率は変わりませんが、利益は8万円となるので税負担を軽減させることができ、その分投資できる金額が増えるので最終的なリターンの向上が期待できます。
ただし、条件が満たされた場合にのみ適用されるので、税負担を必ず繰り延べることを保証してるわけではありませんが、ウェルスナビ株式会社 柴山CEOによるとDeTAXにより年間0.4~0.6%の負担減となるそうです。
参考 SBI証券「「WealthNavi for SBI証券」のウェルスナビ株式会社 柴山CEOへインタビュー」
特定口座に対応
ウェルスナビでの取引で、売却を行った際には売買差益に対して税金がかかりますし、ETFの分配金にも税金がかかります。
ただ、ウェルスナビでは特定口座に対応しているので、ウェルスナビが自動で税金の計算や納付を行ってくれるので、基本的には確定申告を行う必要はありません。
参考 特定口座とは?証券会社の口座種類のまとめ!結局どれがいい?
ただし、ウェルスナビが投資対象とするのは海外ETFなので分配金は米国と日本で二重課税されてしまっているので、確定申告で一定の金額を所得税の額から差し引くことができる外国税額控除を利用することができます。
参考 外国税額控除については下記のサイトでわかりやすく説明してくれています。
その際に必要な「特定口座年間取引報告書」は、電子交付にて通知してくれますし、問い合わせフォームから希望すれば郵送もしてくれます。
万が一の時でも預けた資産は守られる
ウェルスナビに預けた資産は分別管理されていて、万が一ウェルスナビが破綻しても確実に保護されます。
投資したETFは世界最大規模の証券保管機関(DTC)で保管・管理され、現金部分は三井住友銀行に信託することで分別管理を行っています。
また、日本投資者保護基金に加入しているので、万が一預けた資産が返却できないような事態に陥っても、銀行のペイオフのように最大1,000万円までは日本投資者保護基金が補償してくれるので安心です。
多くの投資経験者が選ぶ優れた機能
このようなロボアドバイザーは資産運用が初めての方など、投資初心者の方の利用率が高い傾向にあります。
ただ、ウェルスナビは投資経験がある人の割合が70%以上と、資産運用の経験がある人がウェルスナビを選んでいます。
「ETFの分配金の自動再投資」、「再投資時や積立時の入金や一部出金時などの自動リバランス」、「自動税金最適化」など、本来計算して手動でやらなければいけない部分を完全に自動で行ってくれ、他のロボアドバイザーにはなく、かゆいところに手が届いてる機能があるので完全にほったらかし運用ができるところが支持されている理由でしょう。
参考 もちろん口座開設・維持費は無料となっていますので公式サイトで詳細を確認してみてください。
>> WealthNavi(公式サイト)
ウェルスナビのデメリットとは?
- 手数料は預かり資産の1%以上必要
- 最低投資金額は10万円から
- NISA口座やジュニアNISA口座は利用できない
手数料は預かり資産の1%以上必要
ウェルスナビの手数料は、預かり資産の年率1%(税別)、3,000万円を超える部分は年率0.5%(税別)となっていて、これにETFの経費率が年率0.11~0.14%を間接的に負担しています。
他の楽天証券の楽ラップやマネックス証券のマネラップは1%以下、松井証券の投信工房では0.4%以下と低コスト化が進んでいる中では、手数料が若干高めであると言えます。
ただ、長く続けることによる手数料の割引サービスがあり最大0.90%まで手数料は割り引きされます。
手数料が高いといっても、大手金融機関が提供するラップサービスなどは3~4%は手数料がかかるので、それと比較すると格安ではあります。
最低投資金額は10万円から
ウェルスナビは最初に投資金額10万円が必要となり、その後積立は1万円から資産運用が可能となっています。
THEOは1万円から、マネックス証券のマネラップは1千円から、松井証券の投信工房では500円から投資ができるので、最初のハードルはちょっと高いです。
参考 THEO(テオ)の評価・評判ってどう?投資初心者に人気が高いが運用実績は?
参考 楽天証券の楽ラップとは?低コストのラップ口座だけど評価は?
参考 マネックス証券のラップサービス(MSV LIFE)とは?評価はどう?
参考 松井証券の投信工房の評価・評判ってどう?メリット・デメリットは?
NISA・つみたてNISAやジュニアNISAには対応していない
ウェルスナビは特定口座には対応していますが、NISA・つみたてNISAやジュニアNISAには対応していません。
ウェルスナビは年2回のリバランスが実施されるので、その際には複数の銘柄が売買されるのでNISAやつみたてNISAの非課税枠を超えてしまう可能性があります。
それでも非課税枠が大きいNISAに対応してくれていたほうが税制上のメリットは受けられると思われます。
WealthNavi for SBI証券との違いは?
ウェルスナビとSBI証券は提携していて「WealthNavi for SBI証券」というサービスもあり、SBI証券からもウェルスナビに投資することが可能です。
SBI証券はウェルスナビの紹介、勧誘及び取次ぎ、ウェルスナビとの間で締結する投資一任契約の媒介を行い、資産の管理・運用はウェルスナビが行います。
実際の運用はウェルスナビが行うので機能面などは同じですが、下記の点が異なります。
口座開設はSBI証券にも必要
WealthNavi for SBI証券を利用するにはSBI証券の口座が必要となり、既に口座を持っている方は、ログイン後画面より口座開設が可能です。
SBI証券に口座を持っていない方は、SBI証券の口座開設を行った後にWealthNavi for SBI証券の口座開設を行えば利用することができますが、SBI証券の口座が必要なければ、ウェルスナビに直接口座開設するほうが早く利用することができます。
もちろんどちらから口座開設しても口座開設・維持費は無料です。
>> SBI証券(公式サイト)
>> WealthNavi(公式サイト)
ウェルスナビの長期割には対応していない
ウェルスナビでは長く続けることによる手数料の割引サービス「長期割」で段階的に手数料が0.9%まで割り引かれますが、WealthNavi for SBI証券では長期割の割引サービスは受けられません。
ウェルスナビ単体のサービスに申し込めば長期割を受けられるので、長期割を受けたいのであればウェルスナビ単体のサービスで運用したほうがお得です。
おつりでコツコツかんたん投資アプリ「マメタス」は利用できない
「マメタス」はクレジットカードで支払った時のお釣りを計算し、毎月ウェルスナビのロボアドバイザーに自動で積立ができるサービスです。
「マメタス」を利用するにはウェルスナビの口座(もしくはをWealthNavi for 住信SBIネット銀行)保有している必要がありますが、WealthNavi for SBI証券の口座はまだ対応していません。
まとめ
ウェルスナビ(WealthNavi)は「世界水準の資産運用とリスク管理をすべての人に」というミッションのもと、忙しく働く世代が安心して快適に将来に備えることができるように、資産を守り育てる資産運用を提供することを目的としています。
ウェルスナビは中立的な立場で投資対象銘柄を選定することを約束していて、大手金融機関・政府系ベンチャーキャピタルから出資を受けつつ、SBI証券・住信SBIネット銀行と業務提携するなど安全性も高いです。
ウェルスナビのメリット
- 長期的な国際分散投資をETFで実現
- 資産運用の全プロセスを自動化
- 特定口座に対応
- 万が一の時でも預けた資産は守られる
- 多くの投資経験者が選ぶ優れた機能
ウェルスナビのデメリット
- 手数料は預かり資産の1%以上必要
- 最低投資金額は10万円から
- NISA・つみたてNISAやジュニアNISAには対応していない
他のロボアドバイザーである楽天証券の楽ラップやマネックス証券のマネラップ、松井証券の投信工房と比較するとコスト面、最低投資金額が高い面は注意が必要です。
資産運用に係わる全プロセスが自動化されているので、資産運用したくても情報を調べる時間がない方や、どの銘柄に投資していいかわからない方などは、ウェルスナビは資産運用を始める一つの選択肢となりえます。
ウェルスナビが投資するETF銘柄は若干米国の比重が高めかなとは思いますが、全世界に分散投資が可能となっていて一度設定したらほったらかしでもポートフォリオが維持されるので非常にらくちんですので検討してみてください。
預かり資産・運用者数No1のロボアドバイザー「ウェルスナビ」を利用したい方や無料診断をうけるならこちら!
ウェルスナビは34万口座を突破し(2020年10月9日時点)、預かり資産3,000億円(2020年10月9日時点)を達成しロボアドバイザーNo1のサービスに成長しています。
最短3分で申し込みができ、もちろん口座開設・維持費は無料です。
>> WealthNavi(公式サイト)
SBI証券に口座をお持ちの方や、他の金融商品にも投資したいならこちら!
SBI証券は数多くの金融商品を取り扱っているので、投資をするのに困ることはほとんどなく、どのサービスもネット証券トップレベルのサービスです。ただSBI証券経由でウェルスナビを利用しても長期割など一部のサービスが受けられません。
もちろん口座開設・維持費は無料です。
>> SBI証券(公式サイト)
参考 その他のロボアドバイザーの比較については下記も参考にしてみてください。
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