非上場投資信託の純資産残高1位の新光US-REITオープン、2位のフィデリティ・USリートBなどUSリートに投資する毎月分配型投資信託が非常に人気があります。
投資信託の純資産残高ランキングを見るとUSリートの投資信託が複数ランクインしていてどこに投資していいかわからないですよね。
ここではそんな人気が高いUSリートの利回りを比較してみました。
USリート投資信託ってなんでこんなに人気があるの?
非上場投資信託の純資産残高TOP10は下記の様になっています。
(引用元:モーニングスター)
赤丸のファンドはUSリートの投資信託で、4つもランクインし人気が高いことがわかりますね。
USリート投資信託は、定期的に入る不動産の賃料収入が配当原資となっているので安定的なイメージが強く、特に米国は今後も経済成長が期待できるだけに人気があります。
しかも毎月分配型で利回りが20%を超えるということが人気の理由ですが、実際のUSリートの利回りは3~4%ですので、足りない分は投資した金額がそのまま戻ってくるいわゆるたこ足配当を続けて表面上高い利回りを維持しています。
参考 投資信託の分配金利回りランキングに日本証券業協会から注意喚起!
しかも毎月分配型ファンドの分配金は普通分配金と特別分配金がありますが、特別分配金の方は税金がかかりませんが、自分が投資した資金が戻ってきているだけですし、普通分配金は税金がかかるため再投資しても税金分少ない状態で投資するので運用効率はあまりよくありません。
ただ、現役世代の方には毎月分配型投資信託はおすすめしませんが、すでに引退された方などが生活費の一部の足しにするために毎月分配型投資信託を購入する選択肢はありかと思います。
USリート投資信託の比較
では、実際にUSリート投資信託に投資するならどの投資信託がいいでしょうか?
純資産残高が多い下記のUSリート投資信託を比較してみたいと思います。
- 新光US-REITオープン(愛称:ゼウス)
- フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)
- ダイワ米国リート・ファンド(毎月分配型)
- ダイワUS-REITオープン(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし)
- ゴールドマン・サックス米国REITファンドB 毎月分配型、為替ヘッジなし
基本情報
ゼウス | フィデリティ USリート | ダイワ 米国リート | ダイワ US-REIT | GS米国 REITファンド | |
---|---|---|---|---|---|
ベンチマーク | ー ※1 | FTSE NAREIT エクイティREIT・ インデックス (税引前配当金込 /円ベース指数) | ー ※2 | FTSE NAREIT エクイティREIT・ インデックス (配当金込/ 円ベース指数) | MSCI米国 REITインデックス |
信託報酬 (税抜) | 1.53% | 1.4% | 1.52% | 1.52% | 1.43% |
実質コスト | 1.57% | 1.47% | 1.58% | 1.58% | 1.48% |
買付手数料 (税込) ※3 | 3.24% | 1.08%~ 2.16% | 3.24% | 1.08%~ 2.16% | 1.62% |
信託財産留保額 | 0.1% | 0.3% | なし | なし | なし |
設定日 | 2004/09/30 | 2003/12/09 | 2004/05/20 | 2004/07/21 | 2003/10/27 |
信託期間 | 2024/09/30 | 無期限 | 無期限 | 無期限 | 無期限 |
純資産残高 (百万円) | 1,478,600 | 1,469,489 | 681,977 | 667,648 | 324,962 |
※1:参考指標としてFTSE NAREIT All Equity REITs インデックス(配当込み)※2:FTSE NAREIT エクイティREIT・インデックスの利回りを上回ることを目指します
※3:SBI証券で1,000万円未満の購入の場合
ベンチマークが結構バラバラなのですが、基本は「FTSE NAREITエクイティREIT・インデックス」を意識しているようです。
信託報酬、実質コストともに「フィデリティ・USリート・ファンドB」が安く、買付手数料もSBI証券なら安いようです。
ただ、SBI証券でも100万円投資したら1~2万円無駄な買付手数料がとられますが、フィデリティ証券なら買付手数料が0円で買えるのでお得です。
参考 フィデリティ証券の評価・評判は?毎月分配型投信の購入におすすめ!
その他に「新光US-REITオープン」の信託期間が設定されているのは注意が必要ですね。
信託期間が設定されていると売り時でもないのに強制的に売却せざろうえなくなってしまうので、こういう投資信託は避けるべきです。
業種別比率TOP5
ゼウス | フィデリティ USリート | ダイワ 米国リート | ダイワ US-REIT | GS米国 REITファンド | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 商業・小売 24.4% | オフィス・物流 24.0% | 集合住宅 16.5% | 集合住宅 16.6% | 商業・小売 27.5% |
2 | 住居 11.9% | 小売 21.3% | ショッピングモール 14.6% | ショッピングモール 14.5% | 多業種投資型 19.2% |
3 | オフィス 11.1% | 住宅 15.8% | オフィス 11.4% | オフィス 11.3% | 医療・介護施設 16.9% |
4 | 医療施設 10.7% | 複合施設 11.0% | ヘルスケア 9.4% | ヘルスケア 9.3% | オフィス・ 産業用施設 16.2% |
5 | 産業施設 8.1% | ヘルスケア 10.7% | データセンター 8.9% | データセンター 8.8% | ホテル・リゾート 10.4% |
「フィデリティ・USリート・ファンドB」は比較的収益性が高く、景気の動向に左右されやすいオフィスの比率が高いです。
「新光US-REITオープン」や「ゴールドマン・サックス米国REITファンドB」は景気動向に左右されやすい、商業・小売系の比率が高いです。
「ダイワ米国リート・ファンド」と「ダイワUS-REITオープン」は収益性は高くないが安定性が高い住宅系と、景気に左右されやすいショッピングモールへの比率が高いです。
「ダイワ米国リート・ファンド」と「ダイワUS-REITオープン」は業種別比率がほとんど変わらないので、実際には中身はほぼ一緒かもしれませんね。
分配金
分配金を2017年1月5日の情報をベースに整理したものが下記となります。
ゼウス | フィデリティ USリート | ダイワ 米国リート | ダイワ US-REIT | GS米国 REITファンド | |
---|---|---|---|---|---|
直近分配金 | 50円 | 70円 | 100円 | 80円 | 75円 |
分配金利回り | 25.22% | 23.72% | 24.38% | 21.16% | 27.44% |
分配金余力 ※1 | 51.3カ月 | 90.6カ月 | 47.5カ月 | 43.3カ月 | 42.5カ月 |
※1:2016年3月決算ベース(GS米国REITファンドのみ2016年4月決算ベース)
分配金利回りは各投資信託20%を超え、たこ足配当していることがわかります。(USリートは3~4%程度の利回りのため)
「フィデリティ・USリート・ファンドB」「新光US-REITオープン」は減配しましたが、それでも分配金利回りは20%を超えてるので、まだ分配金は高い状態です。
また、分配可能額から算出した今の分配金を払える余力については、「フィデリティ・USリート・ファンドB」が90ヶ月と一歩抜け出していて、今後7~8年くらいは今の分配金を続けるだけの余力がありそうです。
トータルリターン
分配金を再投資した場合のトータルリターンを比較したのが下記となります。
ゼウス | フィデリティ USリート | ダイワ 米国リート | ダイワ US-REIT | GS米国 REITファンド | |
---|---|---|---|---|---|
1ヶ月 | -3.19% | -3.29% | -3.44% | -3.42% | -4.13% |
3ヶ月 | -1.68% | -1.44% | -1.58% | -1.52% | -0.50% |
6ヶ月 | -5.29% | -4.41% | -5.41% | -5.38% | -2.08% |
1年 | -0.07% | 3.64% | 0.41% | 0.15% | 2.73% |
3年(年率) | 11.98% | 14.61% | 14.28% | 14.10% | 11.18% |
5年(年率) | 18.08% | 21.03% | 19.01% | 18.90% | 16.72% |
10年(年率) | 2.71% | 3.65% | 3.57% | 3.47% | 0.05% |
設定来 | 93.29% | 168.50% | 131.64% | 118.81% | 84.68% |
設定来単純 平均年率 | 7.77% | 12.96% | 10.5% | 9.9% | 6.51% |
直近1年から3年~10年までの年率で一番成績が良かったのが「フィデリティ・USリート・ファンドB」でした。
また、リーマンショック後の直近5年間の年率がどのファンドも20%前後となっており、リーマンショック後は急速にUSリートが成長しているのがわかります。
まとめ
毎月分配型投資信託の中でも人気の高いUSリートの投資信託について比較してみました。
毎月分配型投資信託は基本的にはたこ足配当となっていて、運用効率は正直よくはないので、現役世代の方には毎月分配型投資信託はおすすめしませんが、すでに引退された方などが生活費の一部の足しにするために毎月分配型投資信託を購入する選択肢はありかと思います。
そんなUSリートで純資産残高が多い下記の5つのファンドを比較してみました。
- 新光US-REITオープン(愛称:ゼウス)
- フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)
- ダイワ米国リート・ファンド(毎月分配型)
- ダイワUS-REITオープン(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし)
- ゴールドマン・サックス米国REITファンドB 毎月分配型、為替ヘッジなし
純資産残高1位の「新光US-REITオープン」は、分配金余力やトータルリターンを見ても、あまりいい投資信託ではないのになぜか売れてます・・。
「ダイワ米国リート・ファンド」と「ダイワUS-REITオープン」は住宅への比率が高いので比較的景気に左右されず安定的な収益を得ていますが、おそらくそれだけでは収益があまり良くないので景気に左右されやすいショッピングモールなどへの比率を高めにしてそうです。
トータルリターンはそれほど悪くないのですが、分配金余力がちょっと低いのでわざわざ今から投資することもないかなと思います。
「ゴールドマン・サックス米国REITファンドB」は分配金余力、トータルターンにおいて一番成績が悪いので、これもまたわざわざ今から投資する必要はない気がします。
結果、信託報酬の安さ、買付手数料の安さ、分配金余力、トータルリターンすべてにおいて「フィデリティ・USリート・ファンドB」が最もいい成績でしたので、毎月分配型でUSリートに投資するなら「フィデリティ・USリート・ファンドB」が過去の成績からは一番いいという結果になりました。
参考 フィデリティ・USリート・ファンドBってどう?利回りって?
ただ、フィデリティUSリートファンドB(為替ヘッジなし)を銀行や大手証券会社、ネット証券のSBI証券や楽天証券で購入すると買付手数料が高いです。
例えば100万円を一括投資したとすると、SBI証券でも買付手数料は21,600円必要となります。
この買付手数料はフィデリティ証券で購入すれば0円になるので、証券会社を変えるだけでリターンが2%以上向上します!
しかもNISA口座にすれば、分配金に税金はかからないので実質過去実績の平均年率13%とほぼ同等の環境で取引ができます。
(ただし、特別分配金はもともと税金はかからないのに再投資するとその分NISA枠を使ってしまうので注意してください)
ファンドの中身に対しては何もできませんが、無駄なコストを下げることは我々投資家ができることですので、少しでも有利な証券会社で取引するよう心掛けてください。
フィデリティUSリートファンドBはフィデリティ証券なら買付手数料は0円!
以下の公式ページで詳細を確認してください。もちろん口座開設・維持費は無料です!
>> フィデリティ証券(公式サイト)
参考 フィデリティ証券の詳細を確認したい方は下記も参考にしてみてください。
⇒ フィデリティ証券の評価・評判は?手数料あり投信がほしい人は必見!
参考 既にフィデリティUSリートファンドB(為替ヘッジなし)を持ってる方は、フィデリティ証券に口座開設後に移管することもできます。
コメント
このまま、米国リート続けて良いのか心配です。
波多野様
コメントありがとうございます。
米国は利上げ局面にあり、金利上昇ペースが緩やかなため影響は限定的と考えられていますが、一般的に米国リートにとってはマイナス要因となります。
一方で米国経済が好調であるため不動産自体の価格、入居率や賃料の上昇も見込めます。
2017年も米国リート自体は堅調に推移してますが、セクターによってパフォーマンスの差が拡大していて、特にeコマースの成長により小売りが苦戦しデータセンターなどの需要が伸びているといった状況のようです。
米国株式と比較するとだいぶ出遅れ感がありますが、米国リートは今後も堅調に推移することが想定されます。
また、米国リートに投資するファンドは資金流出が続いていて、分配金を減配しましたが依然高い分配金利回りのたこ足配当を続けています。
ファンドや相場状況によりますが更なる減配の可能性はあり得ると思います。